仕事

“恥ずかしい検索履歴”が社員全員に晒された。ビデオ会議の共有画面の罠

「IT最高!」仕事のリモート化に喜びの声

 コロナ禍により急速に進んだ仕事のリモート化。職場では、当初はパソコン音痴だった中年上司が自らノートパソコンを立ち上げ、「Zoom」や「Google Meet」などのアプリを駆使してビデオ会議に参加する……なんて光景も珍しくなくなった。
ビデオ会議

ソーシャルディスタンスが当たり前となり、打ち合わせや会議はリモートで行う機会が増えた(画像はイメージです。以下同)

 大阪市内の人材派遣会社勤務・工藤隆俊さん(仮名・30代)が言う。 「どこかの元首相ではないですが、“IT”をイットと読むレベルのうちの上司。コロナがきっかけでソフトを使って書類がつくれるようになったんです(笑)。書類を共有ソフトで配布したりして、気分上々です。効率的に仕事ができるようになり、我々もハッピー。いいことづくめです」  一部の会社ではまさに「革命が起きた」ような状態。今さらながらではあるが「IT最高!」と若手や中堅社員が喜んでいるというのだ。  ここから「ハンコレス」までもが実行されようものなら、面倒な古い慣習から次々と解放され、我が国はもっと近代化が進む……などと期待するのは早い。やはり物事には表と裏があるのだ。

ビデオ会議なのに古い慣習を取り入れた“謎ルール”

 神奈川県内の建設会社勤務・七島浩次さん(仮名・40代)は、次のように話しつつ思い出し笑いが我慢できない様子。 「部長(50代)とのビデオ会議中、背景に下着姿の中年女性が映ったことがあったんです。それ以降、社内の中間管理職以上の人たちにIT研修が行われ、映り込みや言動などに気をつけるよう、徹底するようになったのですが……もうおかしくて」(七島さん、以下同)  たいていのビデオ会議アプリでは、画面の背景は好きな画像などを使って「仮想背景」に設定したり、ボカしたりすることが可能。自室を相手に見せたくない場合など、プライバシーを守りたいときに便利な機能だ。  だが、部長はパソコンが全くできなかった。当然、そんな知識もない。タイピングも人差し指で「かな入力」、圧倒的なIT能力の低さで名を馳せていたが、所属部署の全員がリモートワークに移行したことにより、四苦八苦しつつもなんとかビデオ会議アプリの使用方法を覚えたのである。しかし……。 「ある日、リモートで行われたビデオ会議に、部長がスマホで参加したのです。パソコンじゃなくてもいいなんて便利だな、なんて言っていたのですが、会議が終わってもなかなかチャットルームから退出しないんです。忘れてるのかな、とも思いましたが、部長が出るまでは、と部下たちは待機していたんです」  Twitterでは先日、ビデオ会議における“謎マナー”が話題を呼んだ。Zoomにはカスタムギャラリービューという参加者の写真を並び替える機能が実装されているが、上司を上座に、目立つように配置する、というものだ。 ビデオ会議 チャットルームを誰が先に退出するのか。これは仮想会議室であることから、上司が出ていくのを待つべきなのだ、と部下の誰もが考えていたという。  そんな古い慣習を守ったゆえに、悲劇は起きた。 「部長はチャットルームを退出をせずに、スマホを掴んだままトイレに入ったようです。そして、その様子が部下たちに生中継されてしまったのです……」  機転をきかせた部下のひとりが部長に電話をかけ、無事にチャットルームから退出した。部長は今でも威厳たっぷりに振る舞っているというが、部下たちにとってはとんだ笑い話だ。
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“画面共有”で検索履歴が周囲にバレる
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