住みたい街ランキングに異変。池袋1位から5位にダウンのワケ
コロナ禍で自宅の滞在時間が増え、広さや家賃をはじめとした住環境への課題が見えてきた昨今。趣味や癒やしも充実させられる、自分にとっての“住みたい街”はどこか。FPとしても活躍する不動産コンサルタントの岡本郁雄氏に、コロナ禍以降の家選びについて聞いた。
先日発表され話題となったLIFULL HOME’S総研の「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」では、1位に本厚木、2位葛西、3位大宮、4位千葉と郊外エリアが上位ランクイン。一方、4年連続1位の池袋は5位にダウン。この変化を、不動産のプロである岡本氏はどう見るのか。
「滞在時間が増えたことで広さや音など、住宅の課題が顕在化しています。さらに残業の減少による所得減や将来不安から、郊外の賃貸マンションへ引っ越すことで家賃を抑えることを検討した人が増えたのは事実でしょう。
ただ、賃貸より売買のほうがより変化の動きが大きいと感じます。郊外エリアの大規模住宅地の戸建てやファミリー向けマンションの売れ行きが堅調です。8月は、対前年比で首都圏中古マンション+18.2%、中古戸建て+21.8%と、ともに成約数が大きく伸びました。
テレワークに適した共用施設のある大規模マンションの反響数も6月以降増えています」
岡本氏は続けて、コロナ禍で表出した人々の住宅に対する価値観の多様性を指摘する。
「“密”な東京以外の2拠点目を考える人も増え、別荘情報サイト『別荘リゾートネット』の反響数は増加しています。
一方、東池袋の駅直結マンションや駅前立地のタワーマンションは、“おうち時間”を重視する人の支持を集めている。鎌倉や四谷など希少立地の億ションも販売好調。
不透明な経済情勢ではありますが、希少性の高い魅力的な住まいのニーズは、今の状況下でも減退していません」
買い替え需要の増加によって、中古マンション、中古戸建ての在庫物件数は減少している。
「とはいえ世界的に見ても、家が余っている日本の状況は珍しく、バブル期を思えば、今は圧倒的に選択肢が多いです。本当に自分に合った暮らしを考えるいい機会になっていると感じます。
住まいを選ぶ際に大切にしてほしいのは、家族にとって居心地のよい場所かどうか。たとえば、新浦安のような計画的な秩序(コスモス)のある街と、中野のような新旧の混沌さ(カオス)が残る街。
どちらに魅力を感じるのかは人それぞれですよね」
秩序か、混沌か!?住みたい街選びの転換期
希少性の高い魅力的な住まいのニーズは健在
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