2020秋ドラマ、業界人が「絶対に観るべき」と話す作品は?
最終回で驚異の32.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という“令和史上最高視聴率”をマークした夏ドラマの『半沢直樹』(TBS系、日曜午後9時~)。同作と比べると、今年の秋ドラマは高視聴率の作品や大きな話題を生むドラマがまだまだ少ないのが現状だ。
そんななかで初回視聴率15%前後とまずまずのスタートを切ったのはヒットシリーズの『相棒 season19』(テレビ朝日系、水曜午後9時~)、昨年の夏クールに続く医療ドラマ『監察医 朝顔2』(フジテレビ系、月曜午後9時~)、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』を手掛けた中園ミホ脚本の『七人の秘書』(テレビ朝日系、木曜午後9時~)くらい。いずれも人気作の続編や有名脚本家によるドラマのみがどうにか健闘している形だ。
そこで、序盤が放送されたなかで(11月11日現在)、今秋のドラマをテレビ業界関係者たちはどのように見ているのか? さらにこれからでもぜひ見たほうがよい作品は何なのか? 彼らに直撃して本音を探った。
まず、某キー局でドラマのプロデューサー補を務める30代男性のA氏はこう語る。
「中園ミホさん脚本の『七人の秘書』が面白いですね。組織や大企業などの闇を7人の個性豊かな秘書たちが暴いていく王道の“勧善懲悪”ドラマ。メインを務めるのが木村文乃さん、広瀬アリスさん、菜々緒さんといった面々でもしかするとキャスティングがやや弱いのかなと思っていたのですが、ストーリーがよいので問題はなかったです。
中園さんらしいテンポのよい展開に加えて、女性たちの本音と強さをこれまでのドラマ以上に堂々と描いている点が共感を呼んでいるのではないかと思います。女優陣でいえば、病院長秘書・パク・サラン役のシム・ウンギョンさんの演技力は群を抜いていますね。映画『新聞記者』での名演でも話題を呼びましたが、独特の雰囲気を持った彼女は今後ドラマ界を席捲していきそうな気はいます。
意外な良作として挙げたいのは『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系、木曜深夜1時~)ですね。内容は、童貞のまま30歳を迎えたサラリーマン・安達が“触れた人の心が読める魔法”を手に入れて、イケメンで仕事ができる同期・黒沢と恋愛関係になっていくというBLドラマ。
若い女性たちの間で人気があると聞いて初回から見たのですが、見ているコチラが恥ずかしくなるような胸キュン展開の応酬に驚きました(笑)。ボーイズラブの設定ではありますが、王道の魅力、ラブストーリーも捨てたモンじゃないと気づかされた作品ですね」
ドラマ制作会社でプロデューサーをする40代男性のB氏にも話を聞いた。
「個人的には『35歳の少女』(日本テレビ系、土曜午後10時~)です。初回こそ11.1%と好スタートを切りましたが、その後は右肩下がり。しかし、後半にとんでもない展開やどんでん返しを持ってくることで有名な遊川和彦さんの脚本ですから、『女王の教室』や『家政婦のミタ』のような急上昇を期待してしまいますね。
徐々に真相が明らかになってきており、最終回は15%くらいまでは跳ね上がるのではないかと思います。難役を見事にこなしている柴咲コウさん、ここ数年再び輝きを放っている橋本愛さんは素晴らしいのですが、坂口健太郎さんがどうしても35歳の役に見えないのが唯一残念なところ。
『半沢直樹』の後番組になる『危険なビーナス』(TBS系、日曜午後9時~)も非常によくできているドラマだと思います。妻夫木聡さん、吉高由里子さん、ディーン・フジオカさんといった実力派俳優がそろっているだけに、終盤は演技力で見せるシーンを増やしてほしいです。現状だとサスペンスの要素が多めなのがもったいない」
意外な良作は新感覚BLドラマ
最終回で視聴率爆上げもある『35歳の少女』
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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