更新日:2020年11月16日 13:43
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ニトリ、島忠買収の衝撃。もはや「家具の会社」ではない

ニトリネット

ECサイト「ニトリネット」も好調

コロナ前から絶好調だったニトリ

 そんな島忠を仲間に入れたニトリですが、コロナ禍の勝ち組企業として知られています。2021年2月期も、37期連続で増収増益を更新する見通しです。  コロナ流行前の2020年2月期時点で、売上は6423億円、営業利益は1000億円を超えています。  さらにコロナ禍でも、ニトリの2020年3~8月期の売上高は前年同期比12.7%増の3624億円、営業利益は同45.0%増の805億円、経常利益は同43.4%増の810億円、純利益は同35.1%増の497億円と増収増益です。  簡単に言えば、絶好調なのです。  背景にあるのは、在宅勤務・巣ごもり消費が拡大したため、住居家具やオフィス家具の需要が伸びたことです。  4~6月には最大110店が臨時休業したにもかかわらず、売上・利益ともに伸ばしていることは、誰の目から見ても驚異的な数字と言えます。  しかし、ニトリの絶好調ぶりは“コロナバブル”以前から起きていたことでした。ニトリは企画から製造、販売を手掛ける製造小売業(SPA)を取り入れています。  つまり、販売する家具や雑貨のほとんどが自社ブランド。そのため、店頭の販売動向に応じて、生産量を増減少させたり、柔軟に在庫を調整できるのです。以前、私馬渕磨理子が「ニトリは家具業界のユニクロ」と表現したのもそのためです。  さらに、今回のコロナ禍によって「家の中」にコストを払う人が増え、業績の追い風となりました。特によく売れたものが、収納付きベッドフレーム家具や、新生活向けの家電。  そのほか、フラットデザインの多用途収納ボックス「Nインボックス」や、ネジや工具を使わずに組み立てられる収納ケース「Nクリック」などがよく売れ、さらに、パソコンデスクやワークチェアなど、テレワークに必要な商品のニーズも拡大しました。

ニトリは「日本で一番売れてる食器屋さん」

 しかし、ここで疑問が生まれませんか? ベッドやリモートワーク用の机は一度購入すれば、しばらく数十年は買いません。業績を支える要因にならないのでは? そう思った方、鋭いです。  実は、ニトリの店舗売上の過半数は、キッチン用品やカーテンなどの低価格雑貨なのです。購入機会が多いため消費者データが集まりやすく、在庫の回転率を高めやすいのです。  実は、ニトリは「家具業界のユニクロ」であり、「日本で一番売れてる食器屋さん」というのが正しい表現なのです。  話をまとめます。ニトリがコロナ以前から強い理由は… 1:ユニクロと同じ生産性(製造から販売まで引き受けるので在庫ロスが少ない) 2:日本一の食器屋さん(家具屋さんのふりをして、日用雑貨を売る) 3:正確に需要予測ができる(日用雑貨は需要予測がしやすいため)  この3つと言えるでしょう。

コロナで増えた「近所で買う」と「一軒目で全部買う」

 さらに、コロナ禍での需要の伸びに貢献したのは、テレワーク需要や巣篭もり消費に加えて、ニトリが郊外の店舗が多かったからです。都心部の店舗に人が出かけなくなったものの、郊外店では昨年同月比平均売上120%以上と好調な数字となっていました。  加えて、色んなお店を回り、購入する家具を決めるという「ディスティネーションストア」を避ける消費者が増えたことも挙げられるでしょう。  最初にニトリに行って、他のお店に行かず、ニトリでほしいものを全部買ってしまうということです。さらに、2020年度ニトリは64店舗の新規出店を予定しています。コロナ不況で空き店舗となったショッピングモールのスペースにニトリの売り場が増えていくのは間違いないでしょう。  また、ECサイトも堅調で、売り上げの10%程度を稼ぐまでに成長しています。今後は店舗拡大に加えてECでも売り上げを積み上げていくでしょう。
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「ニトリは何の会社?」答えは…
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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