2004年から11年間にわたって日本マクドナルドホールディングス代表取締役会長兼社長兼CEOを務めた原田泳幸氏。
彼は現在、国内に数多あるタピオカミルクティーを扱うブランドの中でも屈指の店舗数を誇るゴンチャを運営する、株式会社ゴンチャ ジャパン代表取締役会長兼社長兼CEOを務めています。
この事実を耳にし、ほとんどの方はこんな疑問を抱くのではないでしょうか。
「マクドナルドから、なぜタピオカ?」
何を隠そう、私馬渕磨理子もその疑問を持った一人です。マクドナルドCEOを退任した真相を語った「
マクドナルド改革の“唯一の失敗”…再建の立役者がいま明かす」に続き、インタビュー後編では、原田氏がなぜゴンチャのCEOを務めたのか、さらにコロナ以降の飲食業界の未来について初めて語っていただきました。
「ゴンチャのコアバリューは、実はタピオカではありません」
現在、タピオカミルクティーを扱うブランドの中でも屈指の店舗数を誇るゴンチャ。同社は2006年、台湾で創業されました。
日本では2015年に1号店がオープンし、現在では都市部を中心に79店舗展開しています(2020年10月26日現在)。とはいえ、タピオカブームが落ち着いたように思える現在。なぜ原田氏はCEO就任を打診されたのでしょうか。
馬渕:アップル、マクドナルド、ベネッセと大企業のCEOを歴任されてきた原田さんが、なぜまだ小さなゴンチャのCEOに就任されたのでしょうか。
原田:小さい、大きいじゃなくて、今からその会社が伸びるか伸びないか。それがすべてです。実は、現在のゴンチャの売り上げと社員のスケールというのは、1990年に私がアップルに入ったときとほぼ同じなんですよ。社員数が約100人で、売上高も100億円前後。
馬渕:当時のアップルはそんな規模だったんですね。
原田:この時、私はアップルに対して「変な会社だけど、これは伸びるぞ」と思って就職したんです。
馬渕:ゴンチャとアップルに似た成長性を感じて、CEOに就任されたのですね。
原田:そうです。やはり、世界中で共通に売れるものがビジネスで成功するわけです。たとえば、コーヒーも寿司もそうです。アジアンカフェも世界中の人たちに絶対に受け入れられると私は確信しています。
馬渕:ゴンチャは、タピオカを軸としているイメージがあります。それが、世界で支持されると考えておられるのでしょうか。
原田:いえいえ、“ゴンチャ=タピオカ”の会社ではないんです。紅茶、ウーロン茶、ジャスミン グリーンティー、阿里山(ありさん) ウーロンティーの4種類のお茶をベースに、そこにミルクを入れて楽しめるなどバリエーションは豊富です。特に、阿里山 ウーロンティーは高品質の茶葉を使用しています。
馬渕:とはいえ、現状はゴンチャ=タピオカだと思っている人は多いと思います。
原田:ゴンチャのコアバリューは、実はタピオカではないんです。世界で最高の茶葉を持っていることです。この5年間、タピオカは一つのブームでした。今は、そのブランド改革をしています。
馬渕:なるほど。
原田:タピオカを軸にすると、10~20代女性のお客さんにだけリーチしてします。今はその改革のために、メニューはもちろん、お客様をお待たせないことに力を入れています。そして、学生には学割価格を導入しました。
馬渕:タピオカ店は、なぜあそこまで行列ができるのでしょうか。
原田:タピオカはカスタマイズが多く、数千通りものパターンが存在します。そのため、オペレーションが混乱状態になり、長蛇の列ができやすいのです。そこで、商品数を絞り、注文しやすくしました。近い将来、お店に来て注文して出てもらうまで3分にすることを目標としています。
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』
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