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パチンコにハマって借金数百万円。多重債務者ラッパーのコロナ禍

 コロナ禍や構造不況、はたまた自堕落な生活など……その業界の平均から落ち込んだ収入での生活に甘んじている人がいる。その理由は? そこから抜け出す術はあるのか? 多重債務を抱えるラッパーのPizza Loveさんが給与明細とともに今の心境を語る。
PizzaLoveさん

PizzaLoveさん

▼Pizza Love(26歳) 4人組グループ「Tajyusaim boyz」のメンバー。パチンコにハマり、20歳にして消費者金融や友人から数百万円をつまむ <給与明細> 月収:リボ払いの返済にほぼ消えるくらい ・実働30日(24時間) ・ライブ等営業 ほぼナシ ・配信 ほぼナシ ※ラッパーの平均月収25万円(編集部調べ)

借金数百万円で多重債務。タンポポを食べて凌いだ男

 弁当だろうがタバコだろうが何を買うにもリボ払いで、息を吐くように周囲にカネを無心する――ツラの皮の厚い多重債務者たちがメンバーのヒップホップグループの中にあって、実はPizzaLoveさんの心は繊細だったよう。 「借金が数百万円あると、かかってくる電話のほとんどが取り立てなんですよ。マジで胃がキリキリしてツラい状態で曲を作っていたら、『借金取り以外から電話が来たら、ハッピーなんじゃね? じゃあ新曲のPVで携帯番号さらしてみるか!』と思いついたんです」  それまでは公園のタンポポの茎をかじって飢えをしのぎ、乾燥させた椿の花をコピー用紙で巻いてタバコ代わりに吸う生活だったが、’19年2月に公開した「アイマユウタ」のPVがバズって100万再生を突破。昼夜を問わないイタズラ電話に見舞われつつ、彼はスターダムにのし上がったのだ。 「毎週末クラブのイベントに呼ばれ、地方営業に行く機会も増えました。稼ぎの大半は借金返済に回していましたが、充実した時期だったと思います」

コロナ禍で一気に暗転

 ところが、上げ潮ムードはコロナ禍で一気に暗転。 「’19年に比べて’20年はライブの出演件数は3割以下。特に6~7月はまったくライブがなく、5月に発売したニューアルバムを宣伝する機会を失ったので、収入は数万円。せっかく借金が減ったのに、またつまみはじめて、もう上限金額に達してしまいました!」  そんな彼に、最近もっともハッピーだった出来事を聞いてみた。 「滞納してた税金の支払いを済ませて、国民健康保険に加入したんです。健康保険証をゲットしたのが嬉しくて……。’21年は俺の時代が来るぜって感じですね!」  最後に残した鮮烈なパンチライン。次のライブでは国保の素晴らしさを高らかに歌い上げる姿が見られるかもしれない。
PizzaLoveさん

消費者金融から借金多数。収入の大半が滞納金や借金の返済に消える。ライブに消費者金融の人が来て激励されたことも

<取材・文/山田剛志(清談社) 撮影/野中ツトム>
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