仕事

貧乏弁護士、バイトする僧侶…「稼げる/稼げない人」の分かれ目とは?

 コロナ禍や構造不況、はたまた自堕落な生活など……その業界の平均から落ち込んだ収入での生活に甘んじている人がいる。その理由は? そこから抜け出す術はあるのか? 今回は弁護士と僧侶を取材。「稼げない人」の現状とは? 弁護士

高給・安定の業界にも押し寄せる格差の波

 人も羨む高給・安定の稼業に表向き見えていても、それはただちに個人の待遇を保証しない。とりわけ弁護士業界は司法試験改革以降、その数は爆発的に増え、激しい競争が起きて、大きな格差を生み「稼げない人」を誕生させている。都内の弁護士事務所に所属する業歴20年のベテラン・伊藤誠二氏(仮名・48歳)はこう話す。 「著名な弁護士の中には、1億円を稼ぐ人もいますし、大企業をクライアントとする大手法律事務所の所属であれば若手ですら年収1000万円は超えるでしょう。その一方で、弁護士会に払う月額3万円程度の会費を滞納するほど苦戦している人も少なくありません」  太くて堅い顧客をいかに集めるかが勝負の分かれ目だ。 「優良な顧問先は上の世代が押さえていますから、若手の弁護士は新規のスポット案件を受けて、解決してなんぼです。そのため弁護士仲介ポータルサイトに登録するなどしてネット集客に力を入れる人が多いですね。そのせいか、若手は依頼者をお客さんと見るサービス業の意識が強いように感じます。弁護士の権威を自ら落としていることを危惧しますね」

僧侶もSNS発信で集客をする時代

 一方、「坊主丸儲け」と揶揄されるように高給のイメージがある僧侶業界だが、こちらも娑婆の現実は厳しいよう。広島県で住職を務める枝廣慶樹氏(35歳)に聞いた。 「どこのお寺も昔に比べ法事件数は減っているので、収入源であるお布施も比例します。過疎地で檀家が減少している寺ともなれば、収入は激減でしょう。また、かつての葬式では、寺に籍を置くフリーランスの僧侶が住職の脇に座っていたものですが、最近は住職一人での葬式が通常なので、出番がありません」
枝廣慶樹氏(35歳)

僧侶・枝廣慶樹氏(35歳)

 収入の少ない住職やフリーランス僧侶たちは、派遣バイトで糊口をしのぐ。葬祭斡旋サービスを依頼すると、派遣会社に登録された僧侶が葬儀会場に来て読経するのだ。 「家の近所のよく知らない寺の住職より、大企業がしっかりネットで情報発信しているサービスのほうが信頼されていると考えられる。旧来の寺院は地域単位で檀家を囲っていましたが、現代においてこの制度は限界だと感じる僧侶は多い。住職がSNSやYouTubeなどで顔を見せて言葉を発しているうちに、地域にとらわれないオンライン信者のようなコミュニティができていくと思います」  このような現象を作家の橘玲氏は「評判格差社会」と表現する。 「インターネットによってサービスの評価が口コミや星で可視化され、それが検索できるようになりました。人々は評判のいい、または多くの評判が集まるサービスを好み、ネットに情報がないサービスを避けるようになっています。これがあらゆる業種で発生し、格差の主因となっています」  評判がすべてを決める「残酷な世界」に我々は生きているのだ。 【弁護士・伊藤誠二氏(仮名)】 東京の弁護士会所属。不動産や債権回収の案件を中心に活動しているが、権力と闘う刑事弁護も積極受任 【僧侶・枝廣慶樹氏】 浄土真宗本願寺派、広島県福山市崇興寺住職。YouTubeチャンネル「仏教エンタメ大寺院」にて仏教界の情報を発信 【作家・投資家 橘玲氏】 小説から評論、投資術など幅広いジャンルで執筆。『上級国民/下級国民』(小学館)など著書多数 <取材・文/沼澤典史・武馬怜子(清談社) 協力/カケコム>
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