緊急事態宣言は延長へ調整。社会の雰囲気でコロナ対策が決められる危うさ
2月7日に期限を迎える緊急事態宣言について、菅内閣は延長する方向で調整に入った。3月7日まで期間を延ばすのだが、新型コロナウイルスの猛威に半ば屈した格好だ。
全国紙政治部記者が語る。
「もともと菅首相はコロナを風邪やインフルエンザ程度と捉えており、厳しい措置を取ることには否定的でした。それが『こんなに感染者が出るとは思っていなかった』と意気消沈。自民党内でも求心力を失っています。
GoToキャンペーンの旗振り役だった二階俊博幹事長ですら『経済を回すために緊急事態宣言を解除しろ』という働きかけを控えるようになりました。菅政権の言動や政策はブレブレで、国民の失望を招き、支持率は大幅に低下しています」
緊急事態宣言の延長により心配されるのは、我が国の経済情勢だろう。昨年4月に出された1回目の緊急事態宣言はおよそ1か月半にわたって発令されたが、同年4~6月期のGDPの落ち込みは年率換算で27.8%と戦後最大だった。
今回の緊急事態宣言によって同規模、あるいはより深刻なダメージは避けられない。経済アナリストの森永康平氏が言う。
「GDPの落ち込みも懸念されますが、それ以上に根深い問題になると思われるのが雇用です。’20年平均の有効求人倍率は1.18倍と、前年比0.42ポイントの低下で、これはオイルショックに次ぐ下落ぶりです。休業者の数も過去最大となり、完全失業率も2.8%。あらゆる指標が雇用を取り巻く情勢の厳しさを物語っています。
昨年から緊急事態宣言が出ては延長されているので、雇用する側からするとそう簡単には人を採用できないマインドになっています。コロナ収束後に経済が回復しようとする際、労働力が必要なのに今後の見通しが立てづらく、計画的に人を採用できない。
結果、非正規雇用が多いサービス業従事者を中心に多くの人が苦境に立たされ、再雇用されにくい構造になってしまっている。残念ながら、追い詰められた社会的弱者は今後ますます増えていくでしょう。どうやって救済していくのか。緊急事態宣言を継続するならば補償や給付金、あるいは消費税の減税なども政府は考えていかなければならない」
社会的弱者の困窮ぶりは、’20年の自殺者がリーマン・ショック以来11年ぶりに増加に転じたことからもうかがえる。直接的な感染死もさることながら、間接的な“経済死”もまた大きな脅威として我々の前に立ちふさがっている。
3月7日までの延長へ。緊急事態宣言出口戦略の是非
雇用を取り巻く情勢の厳しさ
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