仕事

コロナで収入が半減した非常勤講師。「このままではホームレスに」

 学校や保育園、予備校といった教育系の職場の従業員によく用いられる常勤・非常勤という言葉。ここでの常勤とは正社員を指し、非常勤はアルバイトやパートタイム的な意味合いで使われている。
授業

写真はイメージです(以下同じ)

 非常勤である彼らは正社員のように賃金が保証されているわけではない。昨年はコロナで休校していた期間も長く、収入が激減した人も少なくない。ビジネス系専門学校で非常勤講師として働く津山宗佑さん(仮名・42歳)もそのひとりだ。

経営悪化で授業のコマ数が突然減らされた

「昨年は3~5月の約3か月間休校でしたが、社員扱いの常勤講師ではなかったので休業補償などは一切ありませんでした。もともと1コマ90分の授業1回につき6000円という契約で、それを週8コマ担当。月収に換算すると月20万円前後ですが、休業中は0円。主要科目は早い段階からオンライン授業を始めていたのですが、私が担当していたのは政治経済などの一般教養でした。生徒にとっても学校側にとっても優先度が低かったこともあり、私の担当科目はオンライン授業が実施されることはありませんでした」  だが、ようやく学校が再開になっても新たな問題が。年間スケジュールと時間割を組み直さなければならず、それに伴いカリキュラムも見直し。当初予定していた授業数が確保できなくなり、本来週8コマだった授業数が半分の4コマに減らされてしまったのだ。 「常勤講師が分担して受け持つことになってしまったんです。コロナで長期休校になった影響で入学をキャンセルしたり、退学する生徒が続出したことにより経営が厳しくなったらしく、私以外の非常勤講師も授業数を減らされていました。学校側からは『こんな状況だから申し訳ないが理解してほしい』と言われましたが、こちらは受け入れるしか選択肢はありませんでした」

家庭教師のバイトを始めるも月の収入は15万円以下

試験 コロナの前までは学校が休みの土日を利用し、模擬試験や資格検定などの試験監督の副業をしており、こちらのバイト代が月3~4万円。だが、コロナ禍で試験が次々と中止。実施しても以前のように簡単にバイトにありつけなくなり、「このままではいずれホームレスになってしう……」と焦ったという。  そんな津山さんの前職は学習塾の講師。当時は正社員で教室長を任されていたが、教室経営や生徒を増やすための営業活動が大きなストレスとなり、身体を壊して退社。その後に見つけたのが今の専門学校の非常勤講師だった。 「専門学校では非常勤といってもほぼ毎日出勤していましたし、仕事内容は常勤講師とほぼ同じ。ただ、非常勤として実績を作って常勤になった方も何人かいて、私もそれを狙っていたんです。けど、その目論見もふっ飛んでしまいました」  このままではジリ貧なのは明らか。慌てて昨夏からオンライン家庭教師のアルバイトを始めたが、月2万5000円にしかならない。 「最近になって試験監督のバイトも再び入るようになってきましたが、それでも収入すべて合わせても15万円に届きません。40代にもなってたったのこれだけしか稼げないなんて本当に情けない」  切り崩せるだけの貯金もないため、赤字が続けば即破綻となってしまう。それを回避するためにこの冬はどんなに寒さが厳しい日も暖房を入れず、室内でもダウンジャケットを着用。ご飯も週の半分は1日1食で我慢し、食事の内容もおかずはもやしのみの炒め物など貧乏飯で必死にしのいでいる。
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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