“居酒屋難民”たちの酒飲みライフを直撃。公園、コンビニ横でこっそり
首都圏をはじめとする全国の大都市は緊急事態宣言の影響を強く受けている。多くの飲食店が営業を夜8時までとする、政府や自治体からの「時短営業」要請に応じる形だ。
「うわっ! 取材? 無理ムリ! どうせ俺たちのこと面白おかしく書くんだから! あっち行って!」
けんもほろろ、取り付く島もない。それもそのはず、筆者が訪れた場所は東京都内の公園で、声をかけた人々は「居酒屋難民」なのである。
近くにはサラリーマン向けの安居酒屋がひしめき合っていたが、コロナ禍と緊急事態宣言の影響で休業や時短営業を強いられている。そして、行き場に困った飲みリーマンたちが、居酒屋なき後にわらわらと集まっては、コンビニなどで買った酒を片手に、公園でひっそり乾杯というわけだ。
昼間は可愛い子どもたちが遊んでいるであろう背の低い滑り台に腰掛け、同僚と飲んでいたのは野本一之さん(仮名・30代)。
「自宅に帰っても独身だからやることないし、こうして酒飲んでるんです。公園だから酒はダメ? まあ、そうなんでしょうけどね。毎晩のように来るので、いつも会う人とは軽く会釈なんかしちゃったりして(笑)。見ての通りしっぽり飲んでいるだけなので、これくらい勘弁してほしいかなと」(野本さん)
これは、なにも公園だけに見られる光景ではない。神奈川県横浜市の繁華街にあるコンビニ店主・細貝正さん(仮名・50代)が嘆く。
「店の横に、喫煙所とベンチ、テーブルを置いていましてね。以前は喫煙者や、近くの塾に通う学生さんなどがそこでカップ麺を食べたりしていました。
コロナ禍になって増えたのが、そこで酒を飲む客です。喫煙所はコロナ感染防止の為に撤去したんですが、仕事帰りの会社員が夜な夜な集まっては飲酒する。近所からのクレームもあり、一応“飲酒禁止”の張り紙は出しているのですが、店で酒もツマミも買ってくれますし……。黙認しているのが現状です」(細貝さん)
コンビニ近くの惣菜店にも、酒を片手にサラリーマンがふらっとやってきては、アジフライや唐揚げなどのツマミを買い求める。いま、街には「居酒屋難民」が溢れているのではないか? とも思えるほどだ。
飲食店の苦境もさることながら、我々利用者の間でも「夕食難民」が発生し、仕事が終わっても食事をする場所がない、という状況である。だが、夕食難民に類似した別の「難民」たちについては、あまり語られる機会がない。その「難民」がいるという場所を訪ねてみると……。
「居酒屋難民」が発生、公園でひっそり酒盛り
コンビニ横で酒を飲む客
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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