『ICEMAN 病気にならない体のつくりかた』 ヴィム・ホフ、コエン・デ＝ヨング著（サンマーク出版／2018年） 　本書は、「寒冷負荷」について理解が深まる良書。還暦間近で「北極圏でショートパンツ一丁にサンダルでフルマラソン」「氷漬けになって1時間半、座り続ける」「氷山が浮かぶアイスランドの湖で泳ぐ」といった常軌を逸したチャレンジを成功させ、世界中から「ICEMAN（アイスマン）」と賞賛される著者ヴィム・ホフが、自らのメソッドを科学的に解説してくれます。彼のことは、TEDで知っているという人も多いかもしれませんね。 　あえて寒い環境に身を置き、訓練を重ねる「コールド・トレーニング」と「呼吸エクササイズ」の実践が主な内容。自律神経を都合よく操ることであらゆる不調を遠ざけ、ベージュ脂肪細胞が増えることで、体脂肪が通常の3倍も燃えやすい体になるというものです。 　ヴィム・ホフが超人であることはさておき、このメソッドを実践した一般人は、血行改善、心臓の強化、育毛、肌のハリが増す、メンタルの安定、免疫力の向上、血圧が下がり痩せたという声を寄せており、この証言は注目に値します。 　ちなみに、ヴィム・ホフも食事は一日1食。酒を飲むときにはつまみを食べないようにしています。寒冷負荷を勉強すべく読みましたが、ここでも過食がいかに健康を阻害するか、確信を得ました。 　余力がある人にはぜひ併せて読んでほしいのが、『サバイバルボディ 人類の失われた身体能力を取り戻す』（白水社）。 　当初ヴィム・ホフメソッドを疑い、正体を暴こうと4年にわたって体当たりで取材を敢行したジャーナリストが、最終的には短パンでキリマンジャロ登頂に成功してしまう（笑）というサイエンス・ノンフィクションで、実に面白い。 　最新の医学、人類学、トップアスリートのトレーニング法、エクストリーム・スポーツの現状から、潜在的な身体能力を引き出す方法を明かしています。 ＜取材協力／仲田舞衣　撮影／高橋宏幸　撮影協力／カンデオホテルズ東京六本木＞ 企業グループオーナー。作家。断糖高脂質食で30㎏以上の減量に成功。現在は健康長寿の人類学研究に勤しむ。著書『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる　ガチ速”脂”ダイエット』『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ＆健康長寿術』。ツイッター@ShigekiKanamori