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<純烈物語>愛するからこそ「忍の一字」。ファンは声援と握手を封印した<第97回>

「初めて声を出せないライブに参加したんだけど、正直大変」

「初めて声を出せないライブに参加したんだけど、正直言っちゃうと大変だなって思ったわ。純烈ってファンに対しどこまでもやさしいから、こういう状況でもコンサートをやってくれて『ライブの時だけでも日々の辛さを忘れて楽しんでください』って言うじゃない。メンバーだってスタッフだってリスクがあるのにやってくれる。  だからこっちも楽しもうという姿勢で参加したんだけど……楽しいほどに『裕ちゃーん!』『小田井さーん!』って叫びたくなっちゃうの。これがフツーに見ているだけならどんなにラクなことかって、今日思ったわ。純烈が大好きだから叫びたい。でも大好きだから叫ばない。純烈が私たちを守ってくれるように、私たちも純烈を守っていかなきゃね」  五十代と思われるマダムが“努力”をしている現実――あなたはなぜ、こうした状況下でも青春時代をおう歌するようなキラめく目でいられるのか。  このマダムだけではない。コの字型のアクリルスペースへ“閉じ込められて”いるのに、みんな同じ目の輝きを放っている。あらかた取材を終えた報道陣が一人またひとりと中村座から消えゆく間も、撮影会の列は途切れなかった。

大江戸温泉物語担当者の「こみあげるもの」

「1曲目のイントロが流れた瞬間、涙が出そうになりましたね。この1年2ヵ月の間も楽屋で月1、2回は会っていたんですけど、今日に関しては僕のテンションも違いましたし。  朝はいつも通り挨拶させていただきましたけど、お客さんが入ってくるところからライブが再開するんだなという実感が少しずつ湧いてきて、それであのオープニング(大江戸温泉物語でMVを収録した『秘すれば花』)ですから幕が上がった瞬間、こみあげるものがありました」  後方からじっとステージを見守っていた企画販促マネジャー・平澤誠さんは、撮影会でも目を配り最後まで立ち会った。本当ならば、ファンと同じように嬉しさを表に出したいところだが、個人の感情を飲み込み1年2ヵ月前までの日常を取り戻そうとした。  純烈のメンバー同様、夜の部の撮影会を終えるまでが平澤さんにとっての4月12日である。予定ではこの再開を機に、月一ペースを戻して5月も10日の開催が決まっていた。だが、緊急事態宣言発令を受け31日まで休館、ライブも6月4日へ延期となった。  現時点でそれも開催できる100%の保証はない。本当ならば自分のところだけで大変なはずなのに、これからも平澤さんをはじめとする大江戸温泉物語のスタッフは純烈と一つの思いを共有していくのだろう。  1ヵ月先のことさえ読めぬ時代にありながら、純烈プロデューサーとしての酒井は7月の明治座公演や9月10日公開の『スーパー戦闘 純烈ジャー』、年末の紅白歌合戦はおろか再来年まで見据えた上で動いている。世の中がどうなろうとも、やるべきことはやるべきことのままなのだ。
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来週の話をしていた昔、3年後の話をする今
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