見えているのに存在しない? 幽霊が見えるカラクリとは
―[オカルト現象の科学]―
【幽霊が見える】
目に見えたものが真実とは限らない……
「目で見たものを信用する人は多いですが、人の目がいつも正しいものを見ているとは限りません」
そう語るのは、科学ライターの久我羅内氏だ。
† 心霊写真 †
「幽霊がよく目撃されるという夕暮れ時や夜間、人の目は特殊な働きをします。そのひとつが『プルキンエ現象』です。視細胞には『錐体細胞(すいたいさいぼう)』と『桿体細胞(かんたいさいぼう)』があり、錐体細胞は明るいときに赤色の感度が上がり、桿体細胞は暗くなると青色の感度が上がる。つまり、黄昏時は錐体細胞の感度が鈍るため、赤は黒ずんで見えにくくなり、桿体細胞は感度が上がり青がよく見えるんです」
トンネルの中で車のフロントガラスに幽霊を見たというのは、この現象により、普通の人の顔が青白く見えているカラクリだ。
「また、自分では見たと思っていても、それが脳内で勝手に作り上げられた情報の場合もあります。そもそも人間が見ている映像は、目で見た情報が電気信号となり脳で処理されたもの。生後2か月の赤ちゃんに、3つの丸を組み合わせた逆三角形をみせると反応するのですが、これは『輪郭誘導現象』、あるいは『シミュラクラ現象(類像現象)』といって、3つの点が逆三角に配置されているのを見つけると、人の顔に見えてきてしまうことが原因。壁のシミや樹木の肌が人の顔に見える心霊写真などは、この現象によって引き起こされていることが多いです」
コンセントや写真の人面カメムシは、輪郭誘導現象で人の顔に見える。心霊写真の正体はこれか?
【久我羅内氏】
神奈川県生まれ。科学ライター。さまざまな不思議現象を研究し、テレビ番組の企画、リサーチや執筆活動を行う。著書は『不可思議現象の科学』(サイエンス・アイ新書)など
― オカルト現象の科学【5】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ