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<純烈物語>純烈の本質を描いたラブレターと歌 母なる地・明治座初座長公演開幕!<第104回>

1920年代のニューヨークという突飛な設定にしどろもどろ

「明治座7月純烈公演」の第1部『ラブレターを取り返せ!』は、純烈らしさ全開のコメディータッチな物語。コーラスグループ・ホットピュアーズのメンバー・ジョー(酒井)、デイヴ(後上翔太)、ビリー(小田井)のやりとりは、セリフとして決まっているとはいえ普段のライブにおけるMCと同じ呼吸のため、この時点でニヤリとしてしまう。  それに対し物語の主人公、ミスター・ウェンズディを演じる白川は、気鋭の実業家というキャラクターを作り込んでいたが、むしろその本質が描かれたと酒井は言う。ストーリーの肝はタイトルにもあるラブレター、そこへ歌の持つ力が交わることで純烈の姿勢が裏設定のごとく伝わってきた。 「今回は僕らの方からこういうストーリーにしてくれというのは一切出していないんです。事前に脚本の横山一真さんと打ち合わせというか、普段はどういう感じですか、僕から見た小田井さん、白川はこういう感じですというようなディスカッションはありましたけど、だからはじめのうちは1920年代のニューヨークという突飛な設定に、しどろもどろになっていたんです。  でも、稽古で俳優さんたちと動いて演出されると、すごく純烈を研究しているというか、上手にさりげなくお客さんの心へ届くように作ってくれた上品なお話だということに気づいて。白川はリアルでも口下手ですけど、だからこそ手紙や歌といったものが生きるし、白川そのものが描かれていた。そういうのを自然に練り込めるのは、やっぱりプロだなあと思いました」  もちろんここで物語の結末を明かすわけにはいかぬが、どんなに活動や表現の幅を広げても歌を要(かなめ)にやってきた純烈だから、このようなクライマックスが描かれたのだと思えてならなかった。確かに、もう一度役者として光を浴びたいとの願望は持ち続けてきた。  しかし、そのための手段としてムード歌謡グループをやってきたわけではない。それを本道として向き合い、もがき、苦しみ、一歩ずつ地道にやるべきことを成し遂げてきたあとに付随する形で得たのが、舞台という表現の場なのだ。  純烈は、歌の力を信じてきた。そんな4人にとってひとつの帰結が、この『ラブレターを取り返せ!』なのではないか。だからこそこの作品によって、ファンだけでなく外からこのグループを眺めている層にも彼らの本質を感じ取っていただきたいのだ。
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売
純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。
白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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