郷ひろみがステージに上がる理由「実は僕自身が一番励まされている」
1972年のデビュー以来50年、日本歌謡界のトップを彩り続ける郷ひろみ。8月4日には50周年記念ダブルA面シングル「100GO!回の確信犯/狐火」をリリース。いまだ進化を続けるエンターテイナーの流儀に迫るロングインタビュー。その後編をお届けする。
【前編を読む】⇒郷ひろみがデビュー50周年に語った仕事の流儀
――以前テレビで、郷さんは迷うと「郷ひろみとして生きるの? 生きないの?」と鏡の中の自分に聞くというエピソードを観ました。キャリアの中で郷ひろみとして生きることをやめようと思ったこと、または迷った瞬間はなかったですか。
郷 正直な話、あまり迷ったことはなかったような気がします。「郷ひろみをやめるということは、逃げることだよな」、と思ってきたので。一度逃げてしまうと、二度三度逃げますよね。人生でずっと逃げていないといけなくなる。
だったらどんなに時間がかかっても、そこに向き合って乗り越えていく、そうすべきなんじゃないかなと思ったんでしょうね。それに何より、僕が郷ひろみをやめるというのは、僕のことを数十年間ずっと応援してきてくれたファンの皆さんが納得しないんじゃないかな(笑)。
でも、今後あるところまでやり切ったら、「もういいよね、ひろみも自分たちのためにこれだけやってくれたんだから」って言ってもらえるときが来るかもしれない。やっぱり、最低でもそこまではやらないとダメだと思うんです。「30年やりました」「40年やりました」「50年やりました」っていう年数じゃなくて、“どういう生き方をしてきたか”“どこまでやり切ったか”というのを人は見ているんじゃないかな。
まあ、この年齢になれば、容姿とかはもう関係ないですからね(笑)。今も会場に来てくれている人たちは、きっと僕の生き様というか、そういう部分に共鳴して観に来てくれている人がほとんどだと思うんですよ。だって僕よりカッコいい人も、歌がうまい人も、ダンスが上手な人はごまんといるんだから(笑)。
――いえ、郷さん。お言葉を返すようですが、ごまんとはいないと思いますよ(笑)。
郷 そうかなあ? まあ、だから、やっぱり人間性を豊かにしていきたいですよね。もう嘘は通じないから!(笑)。10代20代の頃は外見だけでもよかったかもしれないけど、そういうのはどんどん削ぎ落とされていって、ファンの皆さんもどんどん見る目が養われていくわけですから。
そこに耐えうるだけの歌だったり、ダンスだったり、話だったり、人間性だったりがついてこないと、誰も40年、50年は応援してくれないですよ。だから心の中に嘘のない自分を作り上げていって、それを豊かにしていくしかないのかなと思うんです。
そうなると結局、先ほどもお話ししたように日々の積み重ねなんですよ。コツコツやっていくことの大切さ。それは本当に感じますよね。自分自身を比較することはできないけれど、例えば僕の食生活が違っていたら、もっと不健康な身体になっていたかもしれないし。
僕は今でも週3回トレーニングを35年ほど続けているんですが、「仮にトレーニングをしていなかったらどういう身体になっていたんだろう?」とかね。今頃もう動けない身体になっていたかもしれない。
やらなかった場合の僕と比較することはできないけれど、でも今こうして健康でいられるということは、やっぱりコツコツ続けてきた自分がいて、よかったんだろうなとは思います。
僕が郷ひろみをやめるのは、ファンの皆さんが納得しないんじゃないかな(笑)
コツコツやっていくことの大切さ
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129)
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