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ジェットコースターのような菅首相の2年。最後の切り札は…/倉山満

ジェットコースターのような菅首相の2年

 菅首相はワクチンの普及に血道をあげているが、何のためだったか。感染者が増えても、死者と重症者を増やさないためだったのではないか。ならば、ワクチンの完全普及前に目的を達成したのだから、誇ればよい話だ。  だが、菅首相が聞く耳を持たないなら、もう何も言うまい。  思えば菅首相にとって、ジェットコースターのような2年だった。  史上最長不倒政権となった安倍晋三政権の官房長官として、政権を切り盛りし、「令和おじさん」として時の人となった。ところが暗転、菅フィーバーに危機感を覚えた安倍側近により、「座敷牢」に閉じ込められた状態と化した。しかしコロナ禍で安倍首相と側近たちは無能を極め、ついには退陣に至る。後継をめぐり調整は難航し、突如として菅復権、そして政権発足当初は御祝儀相場で高支持率だったが、解散総選挙を「仕事で成果が出てから」などと先延ばししているや、瞬く間に支持率低下。尾身茂と分科会のような疫病神を切れず、いよいよ風前の灯だ。

目も当てられないが、菅内閣の事績は、安倍前内閣より立派だ

 今や、マスコミは「原稿を読み飛ばした」だの「1分遅刻した」だの、言いがかりで貶める。使われる写真も、みすぼらしい顔ばかり。
言論ストロングスタイル

つい2年ほど前には「令和おじさん」として親しまれていた菅首相だったが、現在では「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」に”1分間”遅刻したとメディアを賑わせている 写真/時事通信社

 自民党青年局は「フルスペックの総裁選を」などと要求しだす始末だ。辞め際の総理は後継選出の総裁選で影響力を発揮することもあるが、それもさせないということか。しかも、言い出した青年局長は、菅首相と同じ神奈川県選出の牧島かれん議員。目も当てられない。地元の横浜市長選でも、腹心とスポンサーが造反して分裂選挙。  だが、本欄でも何度か指摘したが、菅内閣の事績は、安倍前内閣より立派だ。
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小泉内閣以来20年間、猛威を振るった女系天皇論を葬り去る寸前
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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