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ジェットコースターのような菅首相の2年。最後の切り札は…/倉山満

小泉内閣以来20年間、猛威を振るった女系天皇論を葬り去る寸前

 まず皇室。菅内閣の招集した皇位継承問題に関する有識者会議は、「現在の皇位継承順位を守る」との路線を確定させた。小泉内閣以来20年間、猛威を振るった女系天皇論を葬り去る寸前だ。GHQによって皇族の身分を剥奪された方々の子孫、いわゆる旧皇族の皇籍取得にも道筋をつけた。  次に外交。コロナ禍で大きな動きはないが、米中対立は静かに進行している。菅外交は、バイデン政権との連携に成功している。では、本気で中国と対峙する気なのか。来年、どれほど防衛費を増額できるかにかかっている。軍事力抜き外交は無力だからだ。ようやく菅外交は緒についたところだ。

日銀におけるリフレ派を4人にした菅首相

 そして経済。コロナ禍ではインフレターゲットが効かず、デフレマインドが醸成される。あたり前の話で人の流れが阻害されている時に景気回復政策など不可能だ。財政出動で人々の生活を支え、金融緩和を維持して経済全体の破綻を防ぐしかない。だから今は、コロナ終息後に一気に景気回復策を打てるようにしておかねばならない。  菅内閣は、この4月に日銀委員に野口旭委員を送り込んだ。アベノミクスと言われながら、安倍晋三前首相は日銀政策委員会(総裁1人、副総裁2人、委員6人)の内、いわゆるリフレ派を3人までしか送り込まなかった。ところが菅首相は4人だ。総理大臣と黒田東彦総裁が決心すれば、他が何を言おうが4人のリフレ派は景気回復に賛成する。かたくなにデフレ脱却に抵抗してきた日銀プロパー(特に雨宮正佳副総裁)が何を言おうが、知ったことではない。
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万策尽きたように見えるスが内閣にもまだチャンスはある
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