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コロナは政治であり、宗教戦争だ/倉山満

マルクス主義が知識人に受け入れられた理由は五つある

カール・マルクス

カール・マルクス

 カール・マルクス。20世紀の全人類を地獄に叩き落とした、凶悪な怪物思想家だ。共産主義という麻薬のような思想を、地球全体に広めた。特に知識人に、それも世界中の「頭がいい」と思われていた人たちの間に広まった。  では、共産主義とは何か。要するに、「世界中の政府を暴力で転覆して地球上の金持ちを皆殺しにすれば、全人類が幸せになれる」と言っているだけである。今となっては、「狂った思想」の一言で終わりである。ここで疑問を抱こう。なぜ、そのような幼稚な思想が、知識人に受け容れられたのか。しかも、一時は地球の半分が共産主義国家だった。マルクス主義が「頭がいい人」に受け容れられたのには、五つの理由がある。

第一、マルクスは専門用語で煙に巻く達人だった

 第一には、マルクスは専門用語で煙に巻く達人だった。その膨大な著書から主張を要約すれば、「人類の歴史には発展段階があり、原始共産制、奴隷制、封建制、絶対王制を経て、現在は資本主義の段階に至る。しかし、人間社会は階級闘争の歴史であり、自然と共産主義に至る。共産主義においては、私有財産は否定されて貧富の格差はなくなり、全人類が共同財産を抱く理想の社会が実現する」となる。  何を言っているかわからないだろう。当たり前だ。マルクス独自の用語と理論、しかも特殊な述語と文法で構成されているのだから、マルクスの著作の研究者でなければ理解できるはずがない。普通の人間は暇ではないので、無理だ。

第二、マルクスの言葉には、一面の真実があった

 第二には、マルクスの言葉には、一面の真実があった。マルクスはイギリス史の専門家だった。徹底的にイギリスの歴史を研究し、その社会構造の矛盾を抉り出した。マルクスが生きた当時のイギリスは世界史最強の国家である大英帝国だ。日の沈まぬ国として栄耀栄華を誇った。しかしマルクスは「イギリス人は機会の均等などと誇るが、いつの時点で機会が均等だったのだ。生まれた瞬間に埋めがたい格差があるのに、偽善ではないのか」と喝破した。  確かに、当時のイギリスの下層階級の子供は満足に読み書きを教わる前に1日12時間労働を強いられるような悲惨な状態だった。どこに這い上がる機会があるのか。他人を批判するときだけ鋭いマルクスの主張は、読者を魅了した。

第三、マルクスは理想形を語った

カール・マルクス『資本論 1 第1巻 第1分冊 』(国民文庫)

カール・マルクス『資本論 1 第1巻 第1分冊 』(国民文庫)

 第三には、マルクスは理想形を語った。ある特定の条件において理論的に説明する枠組みを「モデル」と呼ぶ。マルクスは共産主義をモデルとして提示した。確かにマルクスの言っている通りにすべての人間が動けば、その通りになるように理屈を組み立てているが、全人類がマルクスの言う通りに動くなど、現実にはあり得ない。だが、マルクスは他人に厳しく自分に甘い人間だった。 「最初の革命はイギリスで起こり、ロシアは最後まで起こらない」と言い切ったが、事実は逆だった。こうした時にマルキストは、「現実の方が間違っている」と平気で言い出す。

第四、マルクスは信者を作り出す天才だった

 第四には、マルクスは信者を作り出す天才だった。しかも狂信者を。マルクスの理論によれば、共産主義革命は自然と起こるはずだった。ところが、待ちきれなかったのか何なのか、ウラジーミル・レーニンという殺人鬼がロシア革命を起こし、本当にソ連という共産主義の国を作った。マルクス主義とレーニン主義は矛盾する。だが、そんな疑問を持つ者は、レーニンの後継者のスターリンが皆殺しにした。

第五、マルクスの信者たちは、カルト宗教の分際で科学を気取った

 第五には、マルクスの信者たちは、カルト宗教の分際で科学を気取った。連中曰く、マルクスこそが科学であって、他は似非科学であると他人を攻撃、あるいは見下した。世間で「頭がいい」と思われている知識人こそがマルクスにかぶれるのだから、批判者は自動的に頭が悪いと思われてしまう。日本など最たる例で、知識階級はマルクスの信奉者であふれかえっていた。
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