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横浜カジノ白紙撤回がパチンコメーカーに与えた計り知れないダメージ

横浜カジノ撤退はパチンコ業界にも影響!?

横浜カジノ

横浜市が発表したセガサミーのIRイメージ図

 この横浜のカジノ誘致撤回は、パチンコ業界的にも無縁ではありません。いろいろなメーカーやホール企業がカジノ事業を虎視眈々と狙い、実際に海外でカジノの運営に直接的にも間接的にも関わっていますから。なかでもパチンコ・パチスロなど遊技機の大手メーカーであるサミー(セガサミー)は、日本のカジノ事業に最も積極的に動いていて、昨年には横浜カジノへの参入を正式に表明していました。  以前から、おそらく日本でのカジノ解禁のきっかけであろう2002年のいわゆる都庁カジノ以降、宮崎のリゾート施設をグループ化したり韓国では現地のカジノ企業と合弁でカジノを運営もしています。リゾート施設ではホテルなどの運営面のノウハウを、また韓国カジノには多数の社員(パチンコ・パチスロの営業マンだった人間なども)を送り込み、カジノ施設のノウハウを積み重ねているようです。  さらに最近では本拠地があるプロスポーツのスポンサーになったり、カジノが予定されている近隣地区で文化施設を運営したりと、横浜市民へのアピールも欠かしていませんでした。昨年、横浜市が発表した事業者からの提案概要では「映画で見たような憧れの舞台で、ラグジュアリーな非日常の世界に浸りきる本物の大人のエンターテンメント」を提供するとしており、すばらしいイメージ図も公開されています。  本来ならセガサミー単独で運営したかったと思いますが、昨今の遊技機不況からか海外のカジノ運営企業との協業でという形になっても横浜カジノは会社としての悲願であったはずです。仮に横浜市長選挙の結果でカジノ推進ということになっていれば、2020年代後半には「本物の大人のエンターテインメント」施設ができていたのかもしれません。

計り知れないダメージの大きさ

 しかし選挙の結果、横浜カジノは全くの白紙に。それどころか次の市長がどうなるか分かりませんが、少なくとも市民の意識が根底からひっくり返らなければ横浜にカジノができることはなさそうな状況に。とりあえず最初は3箇所といわれている日本のカジノ、大阪と和歌山は当確というのが大方の予想であり、となるとまだひとつ枠があるだけに、そこにセガサミーが食い込むことだってあるでしょう。  でもここまで準備をしてきた横浜カジノ、しかも複数の事業者が名乗りを上げる中でセガサミーが本命だといわれていただけに、そのダメージは大きいのではないかと思われます。    コロナ禍で海外の実績ある大手カジノ企業が続々と撤退を表明した日本のカジノ。推進法、実施法と段階を踏みながら実現へと進んではいますが、その歩みは想像以上に遅々としたもの。実現するまでには超えなければならないハードルもまだいろいろとあるようで、今回のようなどんでん返しが他ではないともいえません。  推進法成立を受けて色々なところがビジネスチャンスとばかりに動き出していましたが、それもどうなるのか。パチンコやパチスロにおける駄文を生業としている筆者も、カジノで仕事の幅が広がるなんて喜んでいましたが、もしかしたらそれがぬか喜びで終わってしまうかも。それはそれで仕方ないとはいえ、先行投資とばかりにマカオで散在した負け分は戻ってこないんですよね。 文/キム・ラモーン
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
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