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「あなたとはもう働けない」信頼した部下から送られてきた、4000文字の抗議文

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自分を良い上司だと思い込んでいた筆者が、ある日突然部下から突きつけられた事実とは……(写真はイメージ)

もはやパワハラ上司は下克上を食らう時代

「仲良くやっていると思っていた部下が、自分とはもう仕事をしたくないと言っているのを知ってしまった。何が悪いのかもわからないし、評価にも響くし、困る」(筆者への相談者) DV・モラハラ加害者が、愛と配慮のある関係を作る力を身につけるための学びのコミュニティ「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。  僕自身もDV・モラハラ加害者です。そのせいでたくさんの人を傷つけ、仕事や家庭が破綻寸前になり、ようやく自身の加害行為、それを生み出す加害的な思考・価値観を自覚しました。現在は日々自分の言動を改善しながら、妻と関係を再構築させてもらっています。  この連載では、僕自身の経験や当事者会での気づきを共有していきます。職場や家庭でモラハラに苦しんでいる方々、無自覚に加害を行っている方々の参考になれば幸いです。  さまざまな加害者の方々と話していて、そして自分自身の経験を振り返っても間違いなく言えることは、多くの職場には加害が溢れているということです。  GADHAに参加する人の中には「そんなつもりはないのだが、会社では怖いと言われる。言葉がきついからもう働きたくない、とプロジェクト終了後に言われたこともある」といった人や、 「自分がされてきたように、部下に対しても全員の前で叱責していたら、パワハラだということでエースの部署から外されてしまった」という人もいます。

部下に「お前はバカ」という無言のメッセージを送り続けていた

 かく言う僕も、その一人です。信頼していたチームメンバーの2人から、ある日連名で4000字近い量の文章がSlackで送られてきたことがあります。そこには以下のようなことが書かれていました。 ・自分の方が全体が見えていて情報量が多いのにそれを伝えず「わからなければ聞いて」と言い、働きやすいような情報の提供、仕事の依頼ができていない ・相手が望んでいることや本当の目的を汲み取れる人が「仕事のできる人」「賢い人」であり、そういう人と働きたいという発言を通して、それができない自分たちが責められてるように感じて、働いているのが辛い ・よって、来月からはもう一緒に働けない  ショックでした。自分としては良い関係を築けているつもりだったからです。まさに「無自覚な加害者」として、人を傷つけながら働いていたのです。 「わからないことがあれば聞いて」というのは、自分の中では親切にしているつもりでした。自分は一人で仕事をしてきたので、聞ける相手がいるだけで十分恵まれた環境だ、と思っていたのかもしれません。  しかし実際には、本来であれば負担する必要のない「理解コスト」を相手に押し付け、自分の「説明コスト」を下げる行動にすぎませんでした。それは、相手を人として尊重していれば取らない行動でした。  そして無自覚であることが恐ろしいことに「説明コストをかけさせるのは馬鹿のすること」「そういう人とは働きたくない」というメッセージを垂れ流していました。自分が相手の理解に必要な情報を渡していないにもかかわらずです。  こんなことを言っていれば当然メンバーからすると「これを確認すると馬鹿だと思われるんだろうか」と思われてしまい、仕事の中でもビクビクしてしまったり、聞くのが怖くて聞けず結果的に問題を起こしてしまうなど、良いことは何もありません。  しかも愚かしいことに、自分にとってはそれが褒め言葉のつもりだったのです。「そういう説明コストの不要なみなさんは優秀です!」と、自分の依頼する能力の低さは棚に上げて……。
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家でのモラハラも、まったく同じ構造で行われる
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