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「普通の人だったら理解できる」が口癖の上司、“普通の人”って何?

「普通の人だったら理解できる」が口癖、“普通の人”って何?

上司ガチャ 30代で初めて正社員という働き方で就職が決まった西島花さん(仮名・40代)。内定を出してくれた会社に感謝し、会社のために頑張ろうと意気込んでいた。 「念願の出版社で働くことになって本当に嬉しかったです。未経験の業界のうえ、年齢的なことで記憶力とかが心配だったのですが、少し時間はかかっても大丈夫だろうと思っていました」  しかし、西島さんが思っていた以上に現実は厳しかったという。 「試用期間が3か月設けられていました。私以外の先輩たちは、すでに15年は勤めている大ベテラン。小さな会社だったので、ていねいに仕事を教えてもらえるというよりも『見て覚えて』という感じでした」  そこで出会った上司や先輩たちは、ひとりでいくつも仕事を抱えている状態で、常に忙しくしていたと話す西島さん。仕事の進め方やクライアント対応など、それぞれが独自のやり方を貫いていた。 「わからなければ当然聞くのですが、聞くたびに返ってくる内容が違うんです。さすがに困りました。ただ、自分なりに解釈しなければならない。そう思って仕事をしていたのですが……」

今までの社会人経験を全否定された気分

 そんな毎日が続いたある日。西島さんをさらに困惑させる言葉もっとも言われたくない言葉が上司の口から飛び出す。 「きちんと教えてくれていないにもかかわらず、仕事に対する理解力が足りないと言われたんです。その原因として、私が今まで派遣とか契約社員でしか働いたことがないことを指摘されて。そして、『“普通の人”だったら理解できる、これまで入社してきた人たちは、みんな理解できていた』とのことでした」  “普通の人”って何だろう……その言葉が、西島さんの胸に引っかかった。以後、何度も耳にするたび、違和感を覚えたという。 「私は、普通の人じゃないんだとすごく落ち込みました。これまでの社会人経験を全否定されているように感じてしまって。それからは、何の仕事に対しても不安で。でも、聞いたらまた“人間否定”されるのではないかと、拒否反応を起こすようになりました」  仕事が思うようにできなくなっていった西島さんは、徐々に上司や先輩との距離が開いていくのを感じていた。作業ペースは落ち、ミスの連続で悪循環になっていったと当時を振り返る。 「私にも得意なことがあるはずなのに、それもできなくなっていってしまいました。認めてもらうためにはどうすればいいのか、考えれば考えるほどわからなくなって」
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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