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「今の加熱式たばこは最終形ではない」“脱たばこ”社会でJTができること

“脱たばこ”の時流であっても、やれることはたくさんある

岩瀬健太郎 しかし、脱たばこ社会の流れや健康志向の高まりが声高に叫ばれ、以前にも増してたばこの訴求はしづらくなっている。こうしたなか、どのような創意工夫を行い、消費者とのコミュニケーションを図っているのか。  岩瀬氏は「この状況に対しては、ネガティブに捉えていない」とし、次のように説明する。 「一般的な商材のように広くあまねく消費者へ訴求するマス広告はできませんが、ターゲットが成人かつ喫煙者だと把握できていれば、デジタル広告でできることはたくさんあると思っています。  当社では2020年3月から会員制Webサービス『CLUB JT』を立ち上げ、ポイントプログラムやオンラインショップ、記事コンテンツなどのサービスを通じて、たばこを吸われるお客様一人ひとりに寄り添えるような体験を心がけています」
喫煙所MAP

CLUB JTのサービスのひとつである「喫煙所MAP」。喫煙スポットの掲載件数は日本最大級を誇るという

 CLUB JTの中で好評なのが「喫煙所MAP」のサービスだという。  都市部を中心にたばこを吸える場所が少なくなっており、2020年4月には改正健康増進法が施行されたことで、屋内は原則禁煙となった。  愛煙家にとっては一服できる場所を探すのも大変な状況だが、喫煙所MAPは位置情報から近くの喫煙スポットを簡単に探すことができるそうだ。 「公共の喫煙所や喫煙可能な居酒屋やカフェなどの飲食店が掲載されており、おかげさまで喫煙スポットの登録件数は約100,000箇所。喫煙所MAPは単なる喫煙可能なスポットの紹介だけでなく、喫煙者同士が繋がるプラットフォームになる可能性を秘めている。  たばこを愛する人と人が交流することで情報交換できますし、そこからクリエイティブな発想が生まれるかもしれない。これからも喫煙所MAPの有効活用の仕方を考えながら運営していきたいと思っています」

消費者の声に耳を傾け、商品開発に活かす循環づくりが大切

 また、2022年4月から15支社ある営業体制を刷新し、全国47都道府県それぞれに支社を配置するという。  地域社会に根ざし、地域密着型で分煙環境の整備やたばこのマナー啓蒙などを図っていく狙いがあるそうだ。 「これまでの営業マンの役割としては、販売許可を持つお店にて、いかにJT商品を流通させ、消費者に訴求するかが主な仕事でした。今後、今まで以上に地域に根を下ろして活動していくことで、 喫煙者と非喫煙者双方が快適に過ごしやすい環境整備を目指したり、たばこのポイ捨て防止などの啓蒙活動にも取り組んでまいりたい。地方自治体などと連携しながら、きれいな街づくりに貢献できるように努めていければと考えています」  “たばこ離れ”が進むなか、岩瀬さんは「とにもかくにもお客様から学ぶことが非常に大切」だと話す。 「良い商品を開発しようとしても、やはり限界はあります。お客様から教えてもらったフィードバックをもとに改善し、トライアンドエラーを繰り返しながら新しい価値を見出すこと。これが、これからの時代には必要になってくるでしょう。  お客様の声に耳を傾け、一緒に学びながら『不満』を解消できる商材を出し続ける会社でありたいと思っています。今年の1月からは海外と国内のたばこ事業体制を一本化し、世界各国のお客様からヒントを得られるようになりました。国内外問わず、多様な意見やフィードバックをうまく商品開発へ活かせるような循環を作っていきたいですね」
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たばこの持つ普遍的な“価値”を忘れない
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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