電子タバコ「大麻リキッド」が日本でも流行の兆し―― 韓流アイドル・BIGBANGのT.O.Pも使用していた
近年、摘発者の増加で「大麻回帰」が指摘されているなか、新たな形で大麻が流通していることが判明した。それは電子タバコ(VAPE)で吸引する「大麻リキッド」だ。iQOS(アイコス)などの加熱式タバコとは異なるものだが、クラブや街中で堂々と吸引し、ホームパーティで回し吸いする人々が徐々に出現しているという。
この大麻リキッドはどれも禁止成分であるTHC(多幸感や酩酊感などの精神作用を持つテトラヒドロカンナビノール)を含んだものだ。当然、所持については乾燥大麻と同じく、大麻取締法違反で摘発される。最近、事件化した例もいくつかある。
今年3月、大阪で大麻合法化を主張する男がツイッター上に大麻リキッドの写真を公開。麻薬特例法違反などの疑いで、近畿厚生局麻薬取締部に逮捕されている。また昨年10月には、新日本プロレスの興行に参加していた米国籍プロレスラーの男が、大麻リキッドを米国から持ち込み、大麻取締法違反(輸入)容疑で逮捕されているのだ。
さらに、海外でも流行しているようで、大麻の使用でソウル中央地裁から有罪判決を受けた韓国の人気グループ「BIGBANG」のメンバーT・O・Pも、大麻リキッドを吸引していたことが公判で明らかになっている。
大麻リキッドの流行について捜査当局も警戒を強めている。違法薬物の捜査を手掛ける警視庁組織犯罪対策5課の捜査員は言う。
「乾燥大麻や大麻樹脂の場合は、収穫した後に乾燥させたり、成分を抽出して固形化する作業が必要になる。その点、大麻草を煮出して抽出するだけで生産が可能なリキッドは供給側にとっても利便性が高いので、流通量も増えてくるのではないか。‘14年から危険ドラッグの取り締まりが強化された結果、乱用者が大麻に移行しており、大麻リキッドの登場で、選択肢の幅がより広がっている」
一方で、現在のように電子タバコが流行していない頃に大麻リキッドに目をつけ、密輸していたという元暴力団員・E氏に話を聞くことができた。だが、当初は日本との価格差に大儲けを期待したE氏だったが、読みが外れ、儲からなかったという。半年ほどで取り扱うのをやめたが、誤算だったのは歩留まりの悪さ。
「大麻リキッドはハチミツくらいの粘度があって、手につくと石鹸で洗ってもなかなか落ちない。容器や注射器に付着するぶんも全部ロスになってしまう。そのせいで、仕入れ量と販売量で比べると、2割くらい差があった。しかも保管する際は、垂直に立てた状態で冷蔵庫に入れておかないといけない。これを怠るとすぐに中身が分離して売り物にならなくなる」
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