更新日:2022年02月01日 16:21
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ドラマ『新聞記者』で『東京新聞』望月記者を“舞い上がらせた”私たちの責任

答えをはぐらかす『東京新聞』

 望月さん以上に責任があるのは『東京新聞』でしょう。『週刊文春』の質問に対し、「取材源にかかわることや取材内容など業務にかかわることはお答えしておりません。取材で得た情報等を報道目的以外で使用することはありません」と回答していますが、これはすべて一般論です。  今回、望月さんのケースがどうだったのかを問われているのですから、社としてきちんと事実関係を調べ、少なくとも当事者の赤木雅子さんには事情を説明する責務があります。これでは答えのはぐらかしです。それは『東京新聞』が厳しく指弾してきた、安倍首相や菅官房長官(いずれも当時)、そして財務省がしてきたことと同じです。 『東京新聞』の内部でも文春の記事について「真っ当な内容だ」という声が上がっていると聞いています。文春の発売当日、『文春オンライン』の編集長が『東京新聞』の関連紙『東京中日スポーツ』で講演する予定があったそうです。コロナの影響で延期になりましたが、「たとえ関係があろうが遠慮はしない文春の姿勢は気持ちいい」という声も聞いています。『東京新聞』の発行会社『中日新聞』の方からも賛同の声が届いています。

望月記者は、赤木雅子さんに連絡をとってほしい

昨年12月27日、河村プロデューサーとの面談のため、筆者は赤木雅子さんと羽田空港に向かった

昨年12月27日、河村プロデューサーとの面談のため、筆者は赤木雅子さんと羽田空港に向かった

 そこで、望月さんにお願いしたいのです。赤木雅子さんに連絡をとっていただけませんか? 人は誰しも失敗することがあるし、私もたびたびしています。雅子さんを悲しませ怒らせ、すぐにお詫びせずに断絶しかかったことは何度もあります。でも、最終的に事情を説明して謝ったら、雅子さんは許してくれました。こうしてまだ関係が続いています。  望月さんの最大の過ちは、事がこじれた時に雅子さんとの連絡を断ってしまったことにあると思います。でも遅くはありません。今からでもきちんと事情を説明してお詫びすれば、きっと受け入れてもらえると思います。雅子さんは財務省の人たちに対しても、今からきちんと経過を説明して謝ってくれれば許すつもりがあるのですから。  そういえばドラマ『新聞記者』では、最後に財務省や政権側の人が改心して真相を明かそうとするそうですね。残念ながら実際はまったくそうなっていません。ドラマを見た方が「彼らも心を入れ替えたんだ」と誤解することのないように願います。現実は甘くはありません。もちろん、いずれはそうなってほしいと願っていますが。 文・写真/相澤冬樹
無所属記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『真実をつかむ 調べて聞いて書く技術』(角川新書)『メディアの闇 「安倍官邸 VS.NHK」森友取材全真相』(文春文庫)、共著書に『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(文藝春秋)など
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