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「戦争は非常に“さびしい”ですね」ロシア総領事がもらした精一杯の言葉

総領事は、ロシア政府の言い分とそっくりの内容を答えた

ロシア政府の見解を語るアレクサンダー総領事。背後にマトリョーシカとロシア国旗、日本人形

ロシア政府の見解を語るアレクサンダー総領事。背後にマトリョーシカとロシア国旗、日本人形

 これに対しアレクサンダー総領事は、「もちろん日本人の皆さんの考え方は理解しております」と流ちょうな日本語で答えた。その上で「ロシアが軍事作戦を開始した理由について一言申し上げたいんです」と切り出した。以下に記すのは、あくまでロシアの総領事が政府見解として述べた内容だ。 「紛争はきのうきょう始まったものではなく、2014年にウクライナでクーデターが起きた時からドンバス(ロシアとの国境に近いロシア語住民が多い地域)で紛争が始まった」 「キエフ(ウクライナの首都)の政権がミンスク合意(ドンバスでの停戦協定)を無視して挑発行為を続けてきた。8年間で1万3000人が亡くなった。ウクライナ側の攻撃をやめさせるため今回の作戦が始まった」 「反ロシア行動をとるNATO(欧米の軍事機構)が拡大してロシアの国境まで接近してきた。ウクライナも加盟国になろうとしている。そうなるとロシアの国境前で攻撃兵器を置く可能性もある。それがもう一つの作戦の理由になった」 「犠牲者は誰のせいで出ているのか? ロシア軍は市民が住んでいる地域は爆撃しない。軍事施設を目標にしている。病院を攻撃したと言われるが、あの病院に患者や医師はいなかった。民族主義者たちがいた。ドイツのナチみたいなものだ」 「フェイクニュースによって情報戦みたいになっている。欧米も日本も反ロシアの報道が強い。ロシアの意見も含めてニュースを出すべき。マスコミ報道を100%は信じないほうがいい」  ロシアのプーチン大統領や政府首脳とそっくりの主張を10分余り述べた。国を代表する外交官である以上、そうするのが当然なのだろう。

本音ではロシア人も戦争を望んではいない!?

 しかし、これに木村市議は納得しなかった。 「ニュースの何が本当なのかはわかりません。でも私たちに言えることは、どんな理由があっても、とにかく戦闘を止めてほしいということです。そこが戦場になって犠牲が出ているんですから」  するとアレクサンダー総領事は、こんな言葉を口にした。 「それは理解しています。正直に言えば、ロシア人の間でも、戦争がほしい方はやっぱりいないですね。本当に正直に言えば……」  本音ではロシア人も戦争を望んではいない。それを遠回しに認めたように聞こえた。だが、この後再び“プーチン的”発言に戻る。 「でも最近、プーチン大統領がおっしゃった通り、ロシアとしては他の選択は残念ながらなかったですね。我々も安全保障を保持しないといけないんです。我々の立場としても近いうちにそういう紛争を、そういう作戦を、終わるように努力を尽くしております」
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木村市議「ロシアでもアメリカでも、あらゆる戦争に反対」
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