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乙武洋匡、参院選出馬の理由「弱い立場にある人の声が全然届いていなかった」

6月22日公示・7月10日投開票の参院選が熱を帯びている。火をつけているのはクセの強すぎる候補者たち。高支持率の政権で与党優勢が囁かれるなか、なぜ立ち上がったのか?今回は乙武洋匡を直撃取材!

コロナ禍での変化に「弱者置き去り」の社会を痛感

乙武洋匡

街頭で演説し、チラシ配りを続ける乙武氏は、頻繁に若者や子育て主婦から声をかけられ、写真撮影に応じていた

「パンドラの箱を開けてしまうようで怖かったのですが……弱い立場にある人たちの声が全然届いていなかったことを痛感して黙っていられなくなったんです」  参院選出馬の理由をこう話すのは、週刊SPA!連載陣としても活躍した作家で教育者としての顔を持つ乙武洋匡氏。  その「パンドラの箱」は6年前の苦い経験だ。’16年参院選に自民党公認候補として出馬する予定だったが、『週刊新潮』が不倫疑惑を報じたことで白紙に……。以来、政治への思いに蓋をしてきたが、コロナ禍を経て再度チャレンジすることを決意したという。 「多くの人が会社に通勤できなくなったり、学校に通えなくなったり、友達とご飯を食べに行けなくなりましたよね。でも、障害を抱えていたり、マイノリティと呼ばれる人たちにとっては“それ”が日常なんです。車いすで東京の満員電車に乗れますか? 病気で長期入院しているコが学校に通って授業を受けられますか?  少しずつ社会は変わってきたように感じていましたが、コロナで僕らの声は全然届いてなかったことに気づかされました。マジョリティが困難に直面したら、驚くべきスピードで変わっていくんですから。リモートワークの推進に、料理のデリバリーやコンテンツのオンライン配信。その変化は嬉しかったけど、僕らは以前から声をあげてきたよね? って複雑な思いがありました。  弱い立場にある人たちの選択肢を増やして生きづらさを解消したい。そういう気持ちが日に日に強くなっていったんです」

小学生4人が街頭演説で「いじめのない学校を」

 こうして政治活動を本格化させた乙武氏は着実に手応えを感じているという。取材当日も、頻繁に街ゆく人たちと対話し、写真撮影。特徴的なのは、選挙権を持たない層からも支持を集めている点だ。 「一方的に話すのでなく、質問を受け付ける双方向の演説をさせてもらっているのですが、最初の街頭演説のときには日本とフランスのハーフの方がマイクを持って日本社会におけるハーフの生きづらさを訴えてくださり、あるときは4人の小学生が『せーの』と声を合わせて『いじめのない学校にしたいです』って話してくれました。あの経験は忘れられません。選挙権のない子供たちも政治について考えてくれることは、この先の日本社会やマイノリティにとってもプラスになるはずです」  無所属での出馬とあって苦戦は必至だが……最も先を見据えた選挙を戦っているのは、乙武氏かもしれない。 ●乙武洋匡(46) 無所属/東京選挙区 東京都出身。『五体不満足』が大ベストセラーになり、ライター、教育者として活躍の場を拡大。保育園運営にも参画 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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