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コロナ対策、景気回復……岸田首相がなすべき四つの要諦とは/倉山満の政局速報

 7月10日に投票が行われた第26回参議院選挙。日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏は「今回の参院選で民意の支持を得た岸田首相には、なすべき四つの要諦がある」と言う。一体、それらはどんな政策だろうかーー(以下、倉山満氏による寄稿)。
自民党総裁・岸田文雄氏

自由民主党総裁・岸田文雄氏 画像/自民党広報(@jimin_koho)より

政治の争いは話し合いと選挙で行うのが、民主政治の要諦

 最初に、安倍晋三元首相のご冥福をお祈りする。政治家が選挙の遊説中に凶弾に斃(たお)れるなど、あってはならない。政治の争いを殺し合いではなく、話し合いと選挙で行うのが、民主政治の要諦だ。全政党の全政治家が、あってはならない暴挙を非難している。当然だ。  その意味は、「安倍元首相銃撃『なぜ民主政治が優れているか。人が殺されない、ただその一点だ』」に書いておいた。  重ねて御冥福をお祈りする。

野党の敵失に救われて得た「黄金の3年間」

 選挙前から予想されたが、自民党は参議院選挙で大勝した。単独で62議席、連立与党の公明党と合わせ75議席。特に1人区では28勝4敗と記録的な大勝となった。  これで岸田首相は向こう3年間国政選挙を行わなくて構わない、「黄金の3年間」を得た。安倍元首相の訃報による同情票もあるだろうが、そこは本質ではないと見る。  数字を見ても、同情票は5%程度だったし。政権発足以来、岸田首相の政策は一般方向こそ良かったが、物足りない部分が多々あった。だが、それ以上に野党の敵失に救われたと言える。

スキャンダル追及をやめ、建設的になった野党

 昨年の衆議院選挙で岸田文雄首相は議席を減らしながらも、安定過半数を維持した。一方、野党共闘は崩壊、当時、立憲民主党代表だった枝野幸男は辞任に追い込まれた。その衆議院選挙では、野党共闘が行っていたスキャンダル追及から距離を置いていた日本維新の会、野党共闘から離脱して“提言政党”を掲げた国民民主党が躍進した。  昨年の臨時国会は、別の国の国会のようだった。野党はスキャンダル追及をやめ、政策提言と与党の誤りを建設的に正すようになった。国民・維新につられ、立憲民主党もかつてのようなスキャンダル追及をやめた。
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建設的な野党と事なかれ主義の岸田内閣
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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