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「トー横」「ドン横」キッズたちの事件が多発。悪いのは子供か、大人か

悪いのはキッズたちではない

歌舞伎町を研究するライター・佐々木チワワ氏

「トー横キッズ」について、現地にいるキッズに話を聞いたが、「いじめや上下関係とかになじめない人間の集まりなので。皆さんが思っている以上にフラットで緩く、思いやりにあふれた、優しい空間」と語る姿が印象的だった。  しかし、実際は集団リンチ事件以外にも、薬物を摂取したとみられる10代の男女が建物から飛び降り自殺、未成年が詐欺グループに誘われ性犯罪に巻き込まれるなど、薬物、性暴力、傷害事件など数々のトラブルが発生し続けている。「トー横キッズ」は 犯罪の温床とも言われているが、前出の佐々木氏はこう否定する。 「報道が増えるほどに、未成年たちが救いを求めてやってきてしまっている。少年少女のなかには親から虐待を受けていたり、精神的な病を抱えていたり、地元に居場所がない子が多い。まだ未成年で流されやすい部分もあると思う。そんな彼らを、悪い大人が利用している印象が強い。日本全国に広がる“キッズ”の問題は、未成年の問題として片づけるのではなく、大人の問題という意識で包括的に見るべきだと思います」

トー横キッズは社会全体の問題

 こうした状況下に警視庁は、2021年12月初めに新宿東宝ビル周辺を私服の警察官などおよそ100人を動員して大規模なパトロールを行い、中学生や高校生など17人を補導したことにより一旦沈静化したように思えたが、一部で「トー横第2世代」と呼ばれている少年少女たちがこの春からに新宿東宝ビル周辺にたむろするようになり、そこで14歳の少女がインターネットカフェで売春したとして逮捕された。買っているのは、大人だ。 「正しく厳しい言葉を言う大人より、間違っていても居場所をくれて肯定してくれる大人についていきたくなる、そんな少年少女たちを完全に非難することは難しいのではないでしょうか。歌舞伎町自体がそもそも、お金さえ払えばだれでも承認してくれる街ですから。家庭の問題や学校の問題など、それは引いては親の問題、社会の問題。そのすべてのしわ寄せが弱い子供たちに向いている。『最近の子供たちは……』と憂うだけでは意味がない。社会全体の問題です」  日本各地で増え続けている彷徨えるキッズたち。正しい大人ならば、彼らを利用するのではく、救うべきではないだろうか。 取材・文/ジャスト日本
現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

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