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「現代社会を勉強すればするほど閉塞感しかない」慶応大生2人が考える“日本の闇”

 誰もが24時間365日無料でチャット相談ができる自殺防止の窓口「あなたのいばしょ」の設立など、政治を巻き込み“望まない孤独”の根絶に邁進する大空幸星。ホストやトー横など、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に「歌舞伎町の社会学」を研究する佐々木チワワ。
エッジな人々

大空幸星氏(左)と佐々木チワワ氏

 Z世代の論客として注目される2人は、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)という同じ学舎に所属する現役大学生だ。一見対照的に見えるが、ともに独自の姿勢で社会問題にコミットする者同士が見つめる若者世代の絶望と希望とは──? 2人の活動を語った前編に続き後編をお届けする。

若者の死因トップが自殺という現代日本の闇

──日本の自殺者数は、2019年まで10年連続で減少していましたが、新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年、11年ぶりに前年を上回りましたよね。 大空:ただ、若者の自殺者数はコロナ以前からまったく減っておらず、2020年の小中高生の自殺者数は前年比25.1%増の499人と、統計開始以来最悪の記録を塗り替えてしまったんです。先進国で「若年層の死因トップが自殺」という国は日本だけです。電話相談自体が悪いわけではありませんが、佐々木さんのように勇気を持って電話できる子どもは少ない。国の自殺対策に若者が含まれていないこと、真剣に若者を救う気がないことに僕は絶望し、それ以上に怒りが湧き、それがモチベーションになった部分は大きいです。 佐々木:SNSが浸透している世代に電話はハードルが高すぎます。それこそ、私が歌舞伎町の異常性を改めて感じた出来事として、12歳でホストの子を妊娠してしまった女のコが、Twitterで知り合った17歳の女のコしか相談できる人がいなくて、でももちろんそのコもどうしようもできないから、告発系YouTuberに相談したという悲惨な事件がありました……。たまたまですが、ホス狂のコの飛び降り自殺を止めたこともあります。

自殺がある種の自己表現として麻痺している

エッジな人々──Twitterしか連絡手段の選択肢がない子どもが現実に……。 佐々木:歌舞伎町では自殺がある種の自己表現としてカジュアル化、カルチャー化して麻痺している。そういう若者に「あなたのいばしょ」のような団体を知ってほしいし、世代間のギャップをどうすれば埋められるのか、現実的にアプローチしている大空さんの活動はひとつのロールモデルだなって改めて思いますね。学生の提言が大臣設置にまで関与したって普通にすごすぎます。 大空:僕が本を書いた大きな目的は、チャット相談設立から大臣の設置に至ったプロセスを明らかにして、再現性を生みたいからなんです。個人の問題とされているものって自殺以外にも山ほどありますが、社会的な資金を投入しないと解決できないことがほとんどだと思うので。 佐々木:この本をベースにしたワークショップをやってほしいです。中学や高校の授業にあっても面白いんじゃないかな。 ──お二人もそうですが、SDGsやLGBTQなど、若者世代のほうが社会問題に積極的にアプローチしている現実は重いと感じています。 佐々木:私は個人的に「若者の意見だからこそ聞いてもらえる」機会が増えているとは思っていて、私が見たことを社会に役立てるにはどうすべきかを考えるフェーズかなって。
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セーフティネットがない社会が到来する
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望まない孤独

誰かに頼りたくても頼れない。話したくても、救いを求めたくても、相手がいない――。


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