ライフ

「働けるうつ」状態に陥っている人の特徴。突然電池切れを起こし、命を絶ってしまうことも

うつ状態なのに体が勝手に動いて働けてしまう。だからこそ、苦しいー心と体が限界を突破しているのに動いてしまうその状態はゾンビにも喩えることができる。そんな人々が増えているという。その実態を追った。

長年放置していると突然死や自殺リスクも

うつ病

写真はイメージです

「働けるうつ」状態が長く持続すると、どんなリスクがあるのだろうか。自身もうつ病で治療中の精神科医である岡本浩之氏が感じているのは、「脳の神経細胞が傷つき、治療を始めても長引いたり、ちょっとしたことで症状が再燃してしまう」ということだ。 同じく産業医としてビジネスマンのメンタルヘルスに関わる精神科医の内田栄一氏は「感情を失い、いつも元気で微笑むようになってしまう人は非常に多い。タフに仕事をこなせば、評価も上がっていくので誰も気づかない」という。 また、痛み止めも湿布も効かない腰痛に見舞われたり、不眠症なのにショートスリーパーだと勘違いしている人も多いそう。こうした症状は、うつ病発症の「サイン」だが、それも見逃してしまうと「心筋梗塞による突然死や過労死が起こりうる。突然電池切れを起こし、無意識に命を絶ってしまうことも」(内田氏)。

周囲からの対策は?

一方、周囲からの対策は? 「食事に誘って鬱積した感情を引き出し、本音や愚痴が出れば大成功、そうでなければ仕事に対する真面目な思いに耳を傾けてやる。話が止まらなければかなり深刻な状態なので、上司や家族に相談すると良いでしょう」(同) そして当人がすべき方法は、とにかく「休む」ことと、「薄くてもいいので気軽に話せる人との繋がりをつくること」(岡本氏)。昔も今も変わらない、精神医療家たちの見解だ。 「精神的疲労は風邪と同じで、休めば治る。実は彼らは“休めない”のではなく、自ら“休まない”ことを選択していることが多い」(産業カウンセラーの片田智也氏) 前向きな現実逃避は日本人にとっては最も苦手なことだろうが、やはり最上の治療法なのだ。 【岡本浩之氏】 精神科医、産業医。東京大学医学部卒業後、勤務医を経て北本心ノ診療所院長。自身のうつ病経験をもとに患者にアドバイスを行う。スポーツ精神医学会所属 【内田栄一氏】 日本精神神経学会指導医・専門医。日本産業衛生学会指導医・専門医。医学博士。大塚・栄一クリニック院長。心体のストレスを緩やかに解放する治療を行う 【片田智也氏】 感情マネージメント協会代表理事、産業カウンセラー。著書『メンタル弱いが一瞬で変わる本 何をしてもダメだった心が強くなる習慣』(PHP研究所)など 取材・文/週刊SPA!編集部
おすすめ記事