更新日:2023年08月30日 17:17
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五輪汚職、逮捕の高橋容疑者と森喜朗の蜜月関係…「空白の48日」と突然増えた「1つの枠」

「空白の48日」の間にブラックボックス化した

 今回の事件をひもとくうえでもっとも不可解なのは、高橋氏が組織委の理事に「抜擢」された経緯と森氏が組織委の会長に就任するタイミングだ。  五輪招致を実現した猪瀬直樹都知事が資金提供問題で都政を退場するのが’13年12月24日。年明けに行われた選挙を挟んで、新たに舛添要一都知事が誕生したのが’14年2月11日と、この「空白の48日」の間に組織委が発足し、森氏の会長就任や理事の人選が矢継ぎ早に決められたのだ。なぜ、一大国家プロジェクトを担う組織委の人事がブラックボックス化されてしまったのか? 「空白の48日」の後、新都知事となった舛添要一氏が、このときの経緯を振り返る。 「組織委の人事を決めたのは、都、国、JOCの意見交換の場である調整会議で、都から副知事、国から下村博文文科相、JOCから竹田恒和会長らが参加。森さんは『スポーツ界の首領』であるうえ、首相経験者なので頭が上がる人は政財界、スポーツ界を見渡してもいない。ただ、五輪には莫大な資金がかかる。スポンサーを集められるのは、各界に顔が利く森さん以外にいなかったのも事実でしょう」

34名だった組織委理事の枠が突然35名に増員

 だが、さらに不可解なのは、森氏が会長就任後の3月17日、それまで34名だった組織委理事の枠が35名に増員されたことだ。舛添氏が続ける。 「組織委内で開かれた評議員会で枠が1つ増え、6月に35人目の理事となったのが高橋氏です。評議員会には2人の副知事も参加していたが、知事の私にこの人事の報告はなかった。そして、これより前の4月17日には、高橋氏の古巣・電通が、組織委からマーケティング専任代理店に指名されている。組織委には多くのスタッフが電通から出向していたこともあり、自らの意向を反映させようとしたのではないか」  森氏は2015年7月に放送されたBS朝日『激論!クロスファイア』に出演した際、こんな発言をしている。 「組織委もラグビー協会の会長も私がやっていた。五輪のために神宮の横にある秩父宮ラグビー場を駐車場で貸せという。貸すとラグビー場は3、4年は使えない。だけど、終わったあと修復できて新しいものに造り替えてくれるなら、いいことじゃないのと、ラグビー協会に納得させたんです」  秩父宮ラグビー競技場跡地を駐車場にする計画は、現時点でどの企業が受注しているかはわかっていない。これは引き続き取材を続けるつもりだ。 ※10/18発売の週刊SPA!連載『五輪汚職「森ルート」を暴く!』から一部抜粋したものです。
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週刊SPA!10/25号(10/18発売)

表紙の人/ 宇垣美里

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