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五輪汚職、捜査対象は政治家まで広がるか?舛添要一氏が「当時の内幕」を語る

贈収賄の「スキーム」は’14年の時点でつくられた

 8月の高橋容疑者の逮捕直後、筆者と週刊SPA!取材チームは今回の汚職事件を巡る「3つの予想」を確認していた。 ①スポンサーから組織委に支払われる広告費が広告代理店を経由する際に、高橋容疑者の幽霊会社にカネを還流する事件の「スキーム」 ②最初の逮捕後、勾留延長期限ギリギリの20日ごとに、新たな賄賂のルートを確定し、最重要容疑者の高橋を決して娑婆に出さず(仮釈放せず)、「階段」を上がっていく捜査の「ロードマップ」 ③五輪オフィシャルサポーター20社の中から「道具」(階段を上るための逮捕者)を使い、最終ターゲットのバッジに迫る「逮捕者リスト」  この見立ては一つずつ現実のものとなっている。今回も高橋容疑者の再逮捕と同時に、特捜はADKの新たな逮捕者という「道具」を手に入れ、捜査の階段をまた一段上った。  筆者は、①に挙げた「スキーム」の原型がつくられたのは、高橋が組織委入りする’14年の早い段階と見ている。’13年12月24日、資金提供問題で蜂の巣をつついたようなメディアスクラムが続くなか猪瀬直樹都知事が辞任。年を跨いで’14年2月9日に都知事選が行われ舛添要一新都知事が誕生したが、この間の知事が不在だった「空白の48日」の間に多くの青写真が描かれたということだ。

猪瀬氏は知事の職から「引きずり降ろされた」?

 利権に群がる魑魅魍魎にとって、道路公団改革などに取り組んできた作家出身の猪瀬都知事は面倒な存在だったに違いない。ましてや、五輪運営を独善的に推し進めようとしていたならなおさらだろう。結果的に、猪瀬氏は知事の職から「引きずり降ろされた」ようだ。猪瀬氏の後に都知事を務めた舛添氏が話す。 「猪瀬氏は自らが組織委の会長に就くと言っていたそうです。都議会関係者からは『大会運営を牛耳ろうとしていた』と教えられました。その後、経済界から会長を招く話になったが、猪瀬氏の人選では彼が組織委を牛耳ろうとしていることに変わりはない。こうした動きに危機感を抱いた勢力が、スキャンダルを掘り起こし、マスコミも動員して排除したと聞いている」  猪瀬都知事は組織委の会長選びについて、自分がダメなら経済界から招聘する思惑だったという。猪瀬都知事の報道官を務めた元五輪組織委総務局長の雜賀真氏が話す。 「確かに、猪瀬知事は組織委の会長をやりたがっていましたが、主催都市のトップである知事が運営主体の組織委の会長を兼務するのはうまくない、と事務方から進言しました。その後、竹田恒和JOC(日本オリンピック委員会)前会長の名も挙がりましたが、日本体育協会会長を務めていたこともあり、トヨタ自動車の張富士夫名誉会長(当時)に白羽の矢が立ったのです」
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五輪決定の歴史的瞬間、高橋はあの場所にいた
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