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限界を訴える社員たち、厳しい資金繰り。起業から「心折れる」までのリアル

 新しいアイデアで一発当てたい、世の中を変えたい……そんな夢を追いながら「スタートアップ企業」に挑戦する人も少なくない。メディアでは「成功者インタビュー」が注目されることもしばしばだが、実際はその大半が挫折してしまうとも言われている。  そんなスタートアップでの失敗談をモデルにした漫画「100話で心折れるスタートアップ」がTwitterを中心に人気を集めた。
漫画

大学時代に仲間と起業したが……(画像はえいさん提供)

 2022年7月6日に投稿が開始された本作は、大学の起業サークルに所属する主人公のウサギが「株式会社ウサコア」の創業者として悪戦苦闘する。華々しい成功談ではなく、事業内容のピボット(方向転換)、苦しい資金繰りや次々と離れていく社員など、経営者ならではの苦悩が描かれている。100話目に近づくにつれて心が折れていくウサギのリアルすぎる描写が見どころとなっている。  起業家、経営者、スタートアップ企業で働いた経験のある人たちから共感の声が多数寄せられた本作は10月8日に見事完結。Twitter上では、記事執筆時点(11月1日)で1.3万以上のいいね、200件以上のリプライが寄せられ、大きな反響を呼んだ。そこで今回は、作者のえいさん(Twitter:@HeartBreakSU)に、作品を描き終えた感想や本作に対する想いを語ってもらった。

「良いことばかりじゃない」スタートアップ企業のリアル

漫画

創業者としてやることが山積みのウサギ(画像はえいさん提供)

 えいさんによると、漫画投稿のきっかけは「スタートアップ企業の大変さを知ってほしい」と思っていたからだったという。 「メディアで紹介されるスタートアップ企業の話は、基本的に成功談ばかりで、その裏側にある壮絶な苦労や失敗したエピソードはあまり出てきません。ですが、漫画でも描いた通り、スタートアップ企業って、良いことばかりじゃありません。キツいときは本当に信じられないくらいキツいんです」(えいさん、以下同)  “人の役に立ちたい”と大きな夢を抱いていたはずが、そこに厳しい現実が立ち塞がる。売り上げが思うように伸びないなかで、社員たちも限界を訴えて辞めていく。お金と時間に追われ、休日もSlackの連絡が気になっておちおち寝てもいられない。そんなストレスが重なり、病院で過敏性腸症候群と診断されてしまう場面も……。 「これからスタートアップを目指す人など、読者にはこうしたネガティブな面も知ってもらったほうが公平だと思いました。もしも漫画を読んでいれば、あらかじめ覚悟してのぞんでいるので、いざキツい場面に遭遇しても耐えられるし、対策もしやすくなるのかなって」

作者自身の苦しい経験を物語に反映

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資金繰りが厳しいなかで何回もネットバンクの更新ボタンを押してしまうリアルな心理描写(画像はえいさん提供)

 リアルすぎるスタートアップ企業の内情が描かれる本作だが、それもそのはず、なんとえいさん自身がスタートアップ企業を経営していた経験があり、それがストーリーに反映されているのだとか。 「作品の半分は実体験を基にしていまして、おおむね似たような心労を抱えていました。たとえば、30話目の融資申し込みの結果を待つ話ですね。あの時は内心焦りまくって、ウサギと同じようにネットバンクの画面を何度も更新しましたね……」
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漫画を執筆しながら心がしんどくなって…
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