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重役に就いた人が就職できない?シニア転職という「出世レースの第2ラウンド」

営業や管理職のシニア転職が厳しい3つの理由

シニア転職

写真はイメージです

「いやいや、営業だって即戦力では?」「マネジメント人材のニーズだってあるはずだ」といった声もあるかもしれない。  しかし、ホワイトカラーのミドル・シニアの中でも人口の多い、営業や事務、あるいは管理職などの50代以降の転職では、専門職や現場の人材よりも不利になる要素が出てくる。例えば以下のようなものだ。 ①スキルやその効果がわかりにくく転職後に活躍する確証が得られない ②若手を育成したいニーズが比較的強い職種 ③求職者の人数は多いが、求人枠は少ない  もちろん、営業や管理職のニーズも大きいが、即戦力を求めるシニア採用の場面では、具体的な技術や資格が仕事内容と直結している職種と異なり、実際にどんな成果が得られるのか確証が持てないことが、営業や管理職の最大のネックとなっている。 「営業力」や「マネジメント力」という言葉は具体的に何を指し、何ができるのかわかりにくい。類似の商品・サービスを扱っていても、企業によって違った営業方法や独自の営業方法があり、前職の手法が役に立たないといいうことがある。実際に期待を持って中途採用したものの、期待ほどでなかったという“失敗体験”を持つ企業は多い。  そうした背景から、営業職などはどちらかというと若手を求める企業が多い傾向がある。育成すれば活躍してもらえる可能性が広がるからであり、育成期間を考えるとシニアではなく若手を採りたいという理由だ。  管理職にも、外部のベテランを招聘するケースだけでなく、社風を理解し自社愛を持った生え抜きを抜擢したいニーズがある。  こうなると、ミドル・シニア向けの営業や管理職の求人件数自体が少なくなる。ベテラン営業パーソンやベテラン管理職経験者のニーズもないわけではないが、求人の数は小さい。そのため、ミドル・シニア転職市場での営業や管理職は、かなりの「狭き門」となってしまっているのだ。

ライバルよりも有利なシニア転職を実現するには?

 では、営業や管理職に就いているミドル・シニアは、転職市場の評価がシビアでも黙って受け入れるしかないのかというと、そんなことはない。  シビアな評価になってしまうのは、上記のように自身の経験やスキルが具体的にどのような成果を生み出せるのか、求人企業にわかりにくいことが主要な原因だ。つまり、採用後のメリットを求人企業に感じてもらえれば、評価につながりやすい。  そもそも、「営業」や「管理」、「マネジメント」といったカテゴリは大きすぎる。履歴書にすべてを詰め込むことはできないが、職務経歴書や面接時の口頭ではもっと細かく、具体的な経験領域に触れるべきだ。  新規営業とルート営業の違いや、フィールドセールスとインサイドセールの違いは明確だし、管理職でも育成が得意な人、目標などの数値管理が得意な人、業務の設計や人員配置が得意な人といった違いがあるだろう。  そうした経験領域や得意分野が企業の求める人材イメージとマッチすれば、内定もグッと近づく。  自身の強みを細分化するためにも、これまでの経験・スキルの“棚卸し”が不可欠だ。もちろん、営業や管理職などだけでなく、現場に近い専門職であっても、転職をより有利で確実なものにするためには、経験・スキルの“棚卸し”をしておきたい。  管理職の場合は現場仕事から離れている期間がブランク扱いになる場合もあるため、もし可能ならば、社内では多少は現場に出て業務への慣れと実績を取り戻すことが有効かもしれない。社内で難しければ、副業を経験するのも効果的だ。  いずれにせよ、出世レースのライバルよりも有利な形でミドル・シニアの転職・再就職を進めようと思うならば、これまでの経験スキルをいかに転職先に貢献できる価値に変えるかが鍵となる。未経験分野へのチャレンジを否定はしないが、有利な要素はゼロとなるだろう。  私自身は、社員同士でも切磋琢磨が不可欠だと考えるタイプなのだが、特に男性は老後に友達が少なく孤独を感じやすい傾向があるので、どこかで出世レースはほどほどにして仲間の多い老後を迎えるという選択肢も、人によってはアリかもしれない。
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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