更新日:2022年12月07日 14:30
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「メールやLINEのやりとり」をSNSで公開するのって違法? 弁護士が忠告

取引先の愚痴や悪口「業務上のチャットが知らぬ間に…」

深夜に仕事をする若い女性 また、IT関係の企業で働く篠原佳奈子さん(20代・仮名)は、仕事上でウンザリしていることがあるという。 「業務で外注することも少なくないのですが、なかには『取引先の担当者からこう言われた』とTwitterやnote、ブログなどに陰で書く人がいる。それは良いことばかりではありません。たいてい愚痴の流れで“気に入らない”とか“自分のやりたい仕事ではない”というニュアンスが含まれるので。  該当の投稿には弊社の社名こそ出してはいませんが、過去の投稿をさかのぼっていけば、わかる人にはわかるはず。以前、“うちのことですか?”と指摘をして削除をお願いしたこともありますが……まあ、かたちを変えて、そのうち何か書くのでしょう。わざわざ、そこまで追いませんけど。  弊社の案件ではありませんが、チャットでの具体的な指示をスクショで晒している人まで見受けられます。いつかどこかで公開される可能性があることを踏まえて、外部とのやりとりには細心の注意を払うようになりました」  篠原さんは「SNSを見渡すと気軽にやっている人が多い」と嘆く。 「その人たちにとっては、“同業者の仲間に有益な情報を発信している”つもりなのでしょうが、すこし違和感を覚えますよね」

SNS暴露の法的問題点を弁護士が解説

 今回の2つのケースの法的見解や対応について、青山北町法律事務所の松本理平氏に話を聞いた(以降は、取材・文/藤井厚年)。  まずは、LINEのトーク画面をTwitterで勝手に晒されてしまった斎藤さん。  そもそも本来はクローズドなコミュニケーションであるはずのLINEやDMを、相手の合意なくSNSで晒す行為について法的問題点はないのか。 「結論から言うと、斎藤さんの事例では、著作権侵害による民事上・刑事上の責任、プライバシー権の侵害による民事上の責任、名誉棄損による民事上・刑事上の責任の問題が生じます。また、各SNSにおける利用規約違反にあたるはずです」  著作権の問題から整理していこう。
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10年以下の懲役や1000万円以下の罰金の恐れ
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