更新日:2022年12月07日 14:30
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「メールやLINEのやりとり」をSNSで公開するのって違法? 弁護士が忠告

 いま、TwitterなどのSNSでは「相手から送られてきたDM(ダイレクトメール)やLINE」をスクリーンショットして公開する(晒す)ような投稿が広まりつつある。たとえば、異性から口説かれた際のセリフが気持ち悪い、しつこすぎるなどの恋愛関係をはじめ、仕事の取引先とのトラブルや、納得がいかなかった相手とのやりとりを「どう思う?」と世に問うものだ。
頭を抱える女性

※写真はイメージです。以下同(Photo by Adobe Stock)

 内容があからさまなセクハラやパワハラならば、大半の人が「自業自得」と思うはず。もはや「軽い気持ちで言った」では済まされなくなる。  とはいえ、そのなかには都合の良い部分だけを切り取ったものや内容を改変したもの、当人同士で話し合いもせず、一方的に「ネタ化」しているケースさえ見られる。晒されてしまった本人が後から気づき、「真実はこうだ!」と訴えて泥仕合にもなりがちである。  本来、LINEやSNSのDMはクローズドなコミュニケーションだ。「あまりに理不尽で法的にどうなのか?」と憤る人たちもいる。今回は、そんな2人のケースを紹介しながら、青山北町法律事務所の松本理平氏に見解をうかがった。  

女性から迫られて一夜を共に

 LINEのトーク画面をTwitterで勝手に晒された経験がある斎藤智昭さん(33歳・仮名)。彼は、知り合いが開催した飲み会に参加。そのなかにいたひとりの女性(28歳)から好意をもたれ、Twitterでフォローされたという。  斎藤さんが礼儀としてフォローバックすると、今度はDMが送られてくるようになった。そして、熱烈なアプローチを受けたのだ。 「一応、結婚していることは伝えたのですが『仕事の相談がしたい』と押し切られてLINEの交換をしてしまったんです。そして、『どうしても会って話がしたい』ということだったので、食事に行くことになりました。そこで、『酔ってしまって帰れない』『いっしょに泊まりたい』と言われたんです」  既婚者としてリスクがあることはわかっていたが、お酒が入っていたこともあり、「つい魔が差してしまった」と斎藤さんは言う。  これっきりの関係にするつもりだったが、女性はその後もしつこくLINEを送り続けてきたという。恐怖を感じた斎藤さんは女性をブロックした。

都合よく切り取られたスクショがSNSで晒される

頭をかかえるビジネスマン しかし、しばらく経った後、斎藤さんは偶然にも女性のとんでもないツイートを発見してしまう。 「彼女のツイートには『私のこと好きじゃないのにそんなことしたんですか?』『適当な気持ちでそういうことしたんですか?』という病んだ内容がツラツラと書かれていたんです。  迂闊に寝てしまった僕も当然悪いと思いますが、あらかじめ結婚していることや付き合えないことは伝えていたし、彼女は『それでもいい』と言っていたんです」  斎藤さんはそのツイートを見なかったことにした。下手にツッコミを入れてしまえば相手を刺激してしまい、余計に話がこじれる可能性もあるからだ。  だが、女性はその後、さらにエスカレートしていった。なんと、Twitterで「彼のことを晒します」と言って、斎藤さんとのLINEのやり取りをスクショして公開したのだ。 「驚いたのが、実際は彼女から誘ってきたはずなのに、スクショではその部分のメッセージは見えないようにされていて。まるで僕から食事に行こうと言っているように編集されていたんです。  名前は消されていましたが、アイコンはそのまま載せられていたので、知り合いから見れば僕だとわかります。実際に友人から『お前、女の子に手を出したの?』と連絡がきました。それは事実にせよ、誤解はあるし、納得できない部分もあります」
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取引先の愚痴や悪口「業務上のチャットが知らぬ間に…」
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