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5億売り上げた歌舞伎町No.1ホストが語る「人に嫌われない」技術

 新宿・歌舞伎町で“神”と呼ばれる男がいる。’21年に、それまでのホスト史上最高の年間売り上げを2億以上も上回り、5億2000万を成し遂げた冬月グループに所属するホストの降矢まさきだ。そんな彼の通り名は“日本一嫌われない男”。昨年の12月には、デビュー作『日本一「嫌われない男」の億を売る仕事術』を上梓。ブックファースト新宿店のビジネス書部門で1位を獲得するなど、その超合理的な「自分を売る」技術は、多くのサラリーマンから注目を集めている。降矢まさきはなぜ、“ホストの神”に成りえたのか。その秘密を探るべく、彼が待つホストクラブを訪れた。
新宿・歌舞伎町で“ホストの神”と呼ばれる男・降矢まさき

新宿・歌舞伎町で“ホストの神”と呼ばれる男・降矢まさき

5億は運が8割だったけど運を摑む準備はしていた

──お店に来る途中、いろいろなホストクラブの前で動画が流れていました。1000万OVERのホストが多い印象です。 降矢:ITやSNSの出現によってお金の稼ぎ方が自由化した結果、女子大学生やインフルエンサーなどさまざまな職種のお客様がホストクラブに足を運ぶようになっています。「推し」に課金するのと一緒の感覚で、新宿・歌舞伎町で働くホストにとって、1000万プレイヤーはもはや見慣れた光景です。僕が5億を売り上げたときは“億人”と呼ばれる年間1億以上を稼ぐホストはまだ珍しかったですが、最近はその“億人”も増えてきています。 ──億人が増えているなかでも、5億は大記録です。どのように成し遂げたのですか? 降矢:もともと僕は、「億」超えを何度も達成していましたが、’21年の5億は「運が8割だった」と今振り返れば思います。でも、その運を摑むにも努力や技術は必要です。僕の場合は、信頼関係を築くためにお客様一人当たりに費やす労力や時間が本当に濃密です。24時間・365日稼働する。その超濃密な付き合いのお客様で、5人の少数精鋭のチーム編成を目指しました。「お店では一緒に飲まない。店以外の時間をとにかく濃密に」ぐらいのスタンス。睡眠時間は1~2時間とかザラでした。 ──その5人は、どのように決めていたのですか? 降矢:「定期的に来店してくれて、かつ客単価が高い」が一つの基準。そして、接客を通して5人の入れ替えを戦略的かつ合理的に切っては組み込んでの繰り返しです。月間売り上げNo.1、年間売り上げNo.1など、ホスト・降矢まさきのブランド価値が少しずつ高まっていき、それに呼応するように客単価も上がっていきました。でも、途中で限界に達してしまったんです。

億を稼ぐ美学を捨て太客を迷わず手放す

デビュー作『日本一「嫌われない男」の億を売る仕事術』を上梓──その限界とは? 降矢:お客様は、僕の期待に応えようと全力で働き続けてくれるので、ストレスは相当に溜まり、心身も蝕まれていきます。僕も僕で、そんな疲弊を伴うチームで売り上げを伸ばしていくことに限界を感じていました。このままでは共倒れになってしまう……。今振り返ると、太客たちに去られて売り上げがゼロになるのが怖かったのかもしれません。それで心境を話して納得してもらいチームを解体。そこから美学を少数精鋭ではなく、「お店で一緒にお酒を楽しく飲もう!」にシフトチェンジ。今は、お客様を管理する感覚はないし、以前のようにお客様を選別することもありません。 ──お店で一緒にお酒を楽しく飲む。接客業としては基本の「キ」のような気も……。 降矢:原点に立ち戻ったんです。ホストは今日の売り上げがゼロでも、翌日にはたった数時間で「億」を超えることもある。ホストの世界は今、そういう時代に突入しています。結局、間口を広げるのが一番です。ただ、そうしたお客様の心を掴むには、ホスト・降矢まさきにカリスマ性が備わってなくてはいけません。つまり、客単価を高めるブランド醸成期間と、億を超える顧客管理術の習得を経たからこそ僕は、ほかの億人とは違う、“神”という孤高の存在へと突き抜けることができました。だから、1本1000万する“クリスタルボトル”と呼ばれる高級ボトルを平気で下ろしてくれるお客様が、美学を捨ててから一気に増えました。クリスタルを重ねた結果が、5億です。
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嫌われないを支える洞察力と合理的思考
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日本一「嫌われない男」の億を売る仕事

歌舞伎町で「神」と呼ばれる男が明かす、"日本一嫌われない"仕事術!
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