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値上がりはもうすぐ終わる?世界的な物価はピークからすでに低下中

インフレ率は今後低下する見込み

 国際通貨基金は、’23年の先進国の経済成長率は’22年の2.4%から1.1%へと減速し、原油価格と食料価格は’23~’27年まで低下が続くと予測しています。  日銀も国内インフレ率(生鮮食品を除く総合)は’22年の3%から、’23年に1.6%、’24年1.8%へと低下すると予測しています。  ただし、国内の電気・ガス代は燃料費の上昇から数か月遅れて引き上げられるため、’23年前半も上がり続けると予想されます。

「日銀が利上げしないと、物価上昇は止まらない」は間違い

 なお、日銀は昨年、10年満期の国債金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げましたが、低すぎた国債金利の是正にすぎず、民間銀行の貸出金利には影響を及ぼしていません。  日本は諸外国と比べて消費が弱く、デフレに陥る可能性があるため、コール・レートの引き上げには至っていないのです。  ピークアウトしつつあるのに、「日銀が利上げしないと、物価上昇は止まらない!」と煽り立てる論者やメディアに惑わされてはいけません。  日本では、輸入品の価格高騰に対しては、デフレに陥るリスクのある利上げではなく、低所得者を中心とする公的な援助で対応するのがベストです。
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岩田の“異次元”処方せん
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東京大学大学院経済研究科博士課程退学。上智大学名誉教授、オーストラリア国立大学客員研究員などを経て、’13年に日本銀行副総裁に就任。’18年3月まで務め、日本のデフレ脱却に取り組んだ経済学の第一人者。経済の入門書や『「日本型格差社会」からの脱却』(光文社)、『自由な社会をつくる経済学』(読書人)など著書多数

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