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飲食店で働く高齢者がコロナを境に激増中。その裏事情とは?

中高年雇用の流動性の高さ

飲食店

写真はイメージです

 飲食関連、特に調理の人材は経験・スキルが重視される、ある意味では技術職とも言える職業であり、経験を積んだ中高年は、教育期間が不要な即戦力となる。  2021年秋頃は特に、経験スキルが高いが年齢的にそれまで評価が高くなかった人材や、なかば引退しかかっていた人材が高い人気を得ていた。  しかも、観光地のホテル・旅館の厨房などは通いが難しい立地なので住み込みの仕事も多く、そうした意味でも子供の独立後などの中高年は身軽で人気が高い。  また、コロナ禍では営業時間の規制もあった。パーテーションで区切って席数が少ない環境下ではスタッフを少数精鋭に切り替えた店舗も多く、その意味でも即戦力の中高年が重宝されたのだろう。

60代でも活用できることが証明された

 もちろん、料理長クラスのようなハイスキル人材はそう大勢いるわけではない。  しかし、60代人材も問題なく活用できることが浸透すると、見習いレベルや調理補助の仕事でも中高年を積極活用するようになり、裾野が広がったのだ。  そしてコロナ規制が緩和されると、今度は時短協力金や各種支援金が終了して飲食店の倒産が激増。自分の店を閉じた中高年や、自分の店と掛け持ちで他の職場を探す中高年、これまで働いていた店を辞めた中高年なども転職市場に増えてきた。  こういった背景があり、若い人材が不安定な飲食業界に残らず異業種に移っていったなかで、人材の供給も求人の対象も全体的に年齢層が上がってきたのだ。
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老親の介護を抱えながらでも働ける?
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50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中

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