更新日:2023年07月26日 15:39
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「電波の悪い場所で通話しているみたい」人の話が聞き取れない“聞き取り困難症”と診断された55歳の苦悩

上司から殴られたことも。心が折れた会社員時代

新型「生きづらい病」当事者の本音

ネットで配布されている症状を示した専用マーク。「外出時に店員に見せることで、聞き返すのに抵抗感がなくなった」と和田さん

 病状が判明するまでの数十年、和田さんは窮屈な思いをし続けてきた。 「電話で対応している時に聞き返しすぎるとイライラされるので、前後の文脈で内容を推測したら裏目に出てミスを連発。上司に『バカ』と罵倒されるのは日常茶飯事で、何度か殴られたことも。  周りからも仕事ができないヤツと思われ、接待や親睦会でも雑音が多い居酒屋だと余計会話についていけず、窮屈な思いをするのがツラかったです。  新しい職場を探そうと転職したものの、直近の職場は1か月で自主退職。研修をうまく聞き取れず、仕事を覚えるスピードも遅く、自分が転職した直後に入ってきた後輩に先を越されて心が折れました」

障害と折り合いをつけて歩みだす

 現在は、行政書士の資格を取るため勉強している和田さん。書類作成がメインの仕事なら、一人で黙々とこなせると踏んだのだそうだ。  障害と折り合いをつけ、安泰に働ける職に向かって歩みだした。 聞き取り困難症:聴力は正常だが、脳が音を音声として処理できず、会話の内容を聞き取れなかったり、繰り返し聞き返したりする障害。要因に発達障害や脳損傷などがある。日本医療研究開発機構によれば、明確な原因や治療法は確立されていない。 取材・文/週刊SPA!編集部
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