一風堂、町田商店、山岡家で“真の勝ち組”は…ラーメンチェーンで分かれた明暗
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
売上規模が200億円台のラーメンチェーンに、「山岡家」の丸千代山岡家、「町田商店」のギフトホールディングス、「一風堂」の力の源ホールディングスがあります。
中規模店を展開するという点において事業展開もよく似ているように見えますが、3社の戦略や事業内容は全く異なります。その違いはコロナ禍を境に鮮明になりました。その戦略の差から、将来の成長性と経営リスクが見えてきます。
3社の店舗展開の違いを先に説明します。
「山岡家」は全店直営、24時間営業で大型の駐車場を有する郊外店を展開しています。トラックドライバーのような働く男性を主要なターゲットとしており、リピーター(ファン)を取り込むことに成功しています。
「町田商店」は家系と呼ばれる濃いめのラーメンを提供し、ライスをおかわり自由にするなど、大学生を中心とした若者を主要なターゲットにしています。この会社の最大の特徴はプロデュース店と呼ばれるFC店を大量に抱えていること。2022年10月末の段階で75%がプロデュース店で占められています。
「一風堂」は繁華街やショッピングモールを中心に出店し、ラーメン店でいち早くWebを活用したマーケティングに注力するなど、男性客だけでなく女性客にもアプローチしました。最大の強みが海外展開。アジア圏だけでなく、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニアにも出店しています。国内においても、インバウンド需要の受け皿になっています。
3社の売上高と営業利益の推移を見てみましょう。なお、山岡家は1月、町田商店は10月、一風堂は3月決算です。
山岡家は2020年度と2021年度の売上成長率が鈍化。2022年度に2割増と回復しました。町田商店はコロナ禍でも売上成長率が変わらず、2割増を続けています。一風堂は2022年度に売上高が前期と比較して4割以上落ちました。
「同じラーメン店」でもターゲットが異なる
コロナ禍で明暗がくっきり分かれた
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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