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明暗分かれたカクヤスとやまや。「お酒の宅配業」の勝者はどちらだ

やまや:酒販事業は好調に推移

株式会社やまやは、酒類のディスカウント店を運営する酒販事業のほか、子会社を通じて「はなの舞」などの居酒屋を運営する外食事業を手がけています。売上高の8割以上を占める酒販事業がメインの事業です。酒販事業では全国に約350店舗を展開する「やまや」を通じて一般客や飲食店向けに酒類を販売しています。また飲食店向けの卸売も行っており、各地に物流センターを有しています。 2020/3期から2023/3期の業績を見ていきましょう。コロナの影響を受けた外食事業が足かせとなり全社業績は軟調でしたが、酒販事業は好調に推移したようです。 【株式会社やまや(2020/3期~2023/3期)】 売上高(全社):1,682億円→1,500億円→1,434億円→1,528億円 売上高(酒販事業):1,221億円→1,349億円→1,316億円→1,303億円 やまや店舗数:333→341→345→351

巣ごもり需要が追い風になった21/3期

コロナの影響が特に大きかった21/3期は酒販事業の売上高が前年比で100億円以上も伸びました。もともとやまやは店舗に来店する一般客を主な客層としており、居酒屋業界の不況の影響を受けず、巣ごもり需要が追い風となったためです。特にゴールデンウィークやお盆休みでの売上が大きく伸びたようです。2020年の連休は“帰省の無い連休”とも言われ、地方や行楽地への移動ができない分、家でお酒を楽しむ動きが見られました。 翌22/3期も巣ごもり需要が継続したほか、ノンアルコール類や微アルコール類など健康に配慮した飲料も売上に貢献し感染拡大以前の水準を上回ることができたようです。 23/3期は外飲み需要の回復もあって家庭向けの伸びが一巡した感もありますが、コロナで家飲みが定着したこともあり20/3期よりは高い水準を維持しています。店舗数が伸び続けていることからも、近年では巣ごもり需要に支えられたことが分かります。
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両社の今後の方針は…
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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