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明暗分かれたカクヤスとやまや。「お酒の宅配業」の勝者はどちらだ

両社の今後の方針は…

最終的には家飲み習慣の定着による恩恵を受けた両者ですが、今後どのような方針をとっていくのでしょうか。 カクヤスの方針を見ていくと、飲食店向けに関しては「首都圏の個人店」を強化するようです。アフターコロナではありきたりなチェーン店よりも個人店や地場の飲食店が好まれる動きが見られ、同社の方針はこのような動きに対応したものと考えられます。大手チェーンに対しては酒類以外の商材を充実させる方針です。 家庭向けについてはコロナ禍で伸びた宅配をさらに強化する方針を掲げており、米など酒類以外の宅配で注文数増加を図るようです。しかし食品・飲料は実店舗が至る所にあるため直接購入する方が早く、もともとEC化率が低い商品群として知られています。大手メーカーのビールや酎ハイ、食品類などの宅配では大きな伸びしろは期待できないでしょう。むしろ直近では首都圏における居酒屋業態回復の恩恵を受けると考えられます。 やまやについて方針の詳細は公表されていないものの、新規出店や既存店のリニューアルを進めるようです。また、2022年11月にはアプリ決済「楽天ペイ」に対応したほか、2023年シーズンでは以前からのスポンサーだった楽天イーグルスとのオフィシャルトップスポンサー契約を締結しており、楽天グループと協力するような姿勢が見られます。とはいえ、やまやの酒販事業における業績はコロナ以前から横ばいとなっており、従来通りの方針で大きく伸びる可能性は低いでしょう。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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