ニュース

「買い物ができず不便」は的外れな感想…西武池袋本店のストは「注目すべき出来事」だった

新区長は「高野区長の方針を引き継ぐ」と表明

西武池袋

2023年の豊島区長選に高野区長の後継として出馬した高際みゆき候補。当選後、高野路線を継承していくと述べていたが…(写真:小川裕夫)

高野区長は、グリーン大通りに人が集まることに力を入れました。そのため、商店街や近隣住民と協力してマルシェも開催。着実に歩けるまちづくりを進めてきました。 ようやく歩けるまちづくりの成果が出てきたところに、要である西武池袋本店からブランド品店が撤退してしまう事態が起きたわけです。高野区長が反対することに納得できなくても、その心情は理解されてしかるべきでしょう。 高野区長および豊島区がフォートレス&ヨドバシに反対の意を示したのは、あくまでも都市計画という観点からです。一方で今回のストは従業員が経営陣に対して雇用を守ることを求めたことに端を発しており、方向性は同じですが、論点はまったく違います。 2023年の豊島区長選を前に、高野区長は亡くなりました。新しい区長に就任したのは副区長だった高際みゆき区長です。高際区長は高野区長の下で副区長を務めており、就任会見で西武池袋本店の問題を問われると、高野区長の方針を引き継ぐ旨を表明しています。

高際区長のコメントは踏み込み過ぎ?

繰り返しになりますが、豊島区と西武池袋本店の問題は都市計画に及ぶものです。今回のストは雇用、つまり労働問題です。論点が違うのですから、そこを混同してはいけません。 しかし、高際区長の会見では西武池袋本店のスト問題についての質問もあり、それに高際区長が答えるというやりとりも見受けられました。区長という公的な立場上、そうした質問を受けることは仕方がないことです。 都市計画という面から地元・豊島区の区長が、西武池袋本店の問題に言及するのは決して不自然なことではありません。また、地元の雇用を守ることや地元の納入業者に影響がおよぶことを心配して対策をするのも区長に課せられた責務です。それでも、ストそのものにあれこれ言及するのは踏み込み過ぎです。 ストは使用者と労働者の問題であり、スト権は労働者の権利です。高際新区長はストが決行されてからもコメントを出していますが、その内容は区長の権限・職域を超えて踏み込み過ぎていると言わざるを得ません。
次のページ
「買い物ができなくなって不便」は的外れな感想?
1
2
3
4
5
6
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

記事一覧へ
おすすめ記事