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“アニメのセル画を文化庁が買い取る”取り組みに賛否…「運営できる人材がいない」

現実的なラインは“麻生漫画博物館”?

 図書館学や博物館学の分野では常識だが「貴重な資料」とは、現代の価値観で判断されているにすぎない。だから、本来はすべてを収集・保存すべきなのだが、現実には困難なので苦渋の決断で選んだものを収集しているわけだ。当時はゴミでしかなかった、走り書きが現代では歴史を記録した資料となっている例はざらにある。金銭的価値もついていることから、海外への流出を防ぎたいという文化庁の思考とは、まったく異なる。 「ちゃんと資料の扱い方を理解した上で、漫画家やアニメ製作会社などと交渉して、権利関係をクリアにして、買い取りや寄付を促すことのできるスーパーマンなどいないでしょう。漫画好きで知られる麻生さんが、私費で自分の好きな漫画の資料を集めた“麻生漫画博物館”をつくるくらいが現実的なラインですよ」(西河内氏)  結局、保存事業の構想が一度も実を結ばないのは「保存は必要」といいながら、展示という名の観光施設を合体させた計画になってばかりだからだろう。もしも保存を充実させたいのならば、今ある国会図書館の拡充が最適解だと思うが、なぜかそういう話は出てこない。 <取材・文/昼間たかし>
ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』
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