“中国語学習者”は英語の100分の1しかいない?「できる人材」が争奪戦になっていた
いま国内で中国語の需要が急速に高まっている。8月にコロナ禍で途絶えていた中国からの団体旅行が3年半ぶりに解禁されたためだ。
その復活は国内の観光地や航空会社、ホテルなどインバウンド業界にとっての朗報となっている。一方で、中国語で接客できるスキルを持つ人材の確保が喫緊の課題となっている。
団体旅行の解禁を受けて、都内の繁華街などでも中国語を話す観光客の姿はドッと増えた。そうした観光客の姿はデパートなどにとどまらない。趣のある店や、日本でも話題のグルメなどに行列している姿は当たり前にみられる。中国人の旅行スタイルも、かつての「爆買い」は一段落し新たなステージに移行している雰囲気だ。
中国人訪日客はコロナ前の2019年には約959万人を記録し、全外国人客の三割を占めていた。そのためWeChat PayやAlipay、銀聯カードなど中国人が利用している決済方法に対応している店も多かった。しかし、決済はできても中国語で応対ができる人材を抱えている店舗や施設は、まだ少ない。
中国語コーチング「the courage(カレッジ)」を運営する伊地知太郎さんは、団体旅行の解禁を受けて、店舗などから今までになかった依頼を受けるようになったという。
それは「在庫の有無を確認してきます」「ほかにも色違いがあります」「サイズをお探しします」といった店舗で接客の際に使われそうな最低限のフレーズをまとめた、指さし会話の資料である。
「店舗などではレジでも十分な対応ができず苦慮しているところもあります。また、中国語が話せる人材を確保しても、全員が話せるわけではないので、特定の人に業務が集中してしまいます。結果、来店した顧客を待たせてしまい販売の機会を逃してしまうのではないかと危惧されているようです」(伊地知さん)
決済はできても、中国語での応対は…
「指さし会話の資料」の依頼が
ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』
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