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今、中国が「海軍を増強」している理由。日本を脅かすかもしれない“恐ろしい思想”

もはや海上交通の安全確保は中国にとっても死活問題

経済で読み解く地政学 しかし、ソ連崩壊でロシアが力を失ったのとは反対に、中国は改革開放路線をひた走り、安く誘導された為替レートを武器に世界各国と貿易取引を拡大して、国として大きな発展を遂げました。  もはや海外との貿易なしに自国の発展はないことを自覚した中国にとって、海上交通の安全は死活問題となりつつあるのです。元々大陸国家だった中国が最近、海軍を増強させてシーパワーも手にしようとしている理由はここにあります。

中国の地政学の根底にある「自給自足」という考え方

経済で読み解く地政学 日本やドイツといったいわゆる西側諸国なら、世界中の海を警備しているアメリカ海軍のインフラを利用することで安全が保障されます。ところが、中国はそれを良しとすることはありません。  中国の地政学の根底には「自給自足」という考え方があり、海上交通の安全も、中国自らの力で守ろうとするだろうと予想するほうが妥当です。  実際に中国海軍はものすごい勢いで増強されており、イージス艦(もどき?)や原子力潜水艦や空母まで配備されています。沿岸地域の防衛の目的を越え、明らかに外洋での作戦行動を念頭においた軍備増強が進んでいるのです。  これはかつてマハンが掲げた「いかなる国も、大海軍国と大陸軍国を同時に兼ねることはできない」というテーゼに対する挑戦です。歴史上まだどの国も成し得なかった政策です。果たして中国はマハンのテーゼを打ち破ることができるのか?注目が集まっています。 〈文/上念司 構成/日刊SPA!編集部〉
1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中
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経済で読み解く地政学

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