更新日:2022年08月06日 02:13
仕事

日本企業で「新規事業」がなかなか進展しない“意外で、深刻すぎる背景”

 経営コンサルタントの中沢光昭です。企業再生をメインとしたコンサルティングを行う傍ら、経営の視点から働き方や組織論、最新のリストラ事情などについて情報発信を続けています。

「人生に満足している人」が減り続けている日本

残業 格差の広がりが言われてからもう10年ほど経つ。実際にお金の格差は広がっているが、恐らくは人生の満足度の格差も広がっているように感じます。PGF生命調べによる「人生の満足度調査」によると、人生全般に対して「満足している」という回答をした比率が6年以上にわたって全世代において転落しています。  2015年には満足している割合が45.7%だったのに対して、2020年には32%になっています。日本の全人口1億2000万人からの割合に換算すると2000万人が満足でなくなった計算になり、恐ろしく感じます。  これは「ほどほどに満足している」ような中間層が転落したことが推測されます。コロナ禍によって加速したこともありますが、根本的な要因があるのでしょう。  幸せな人を見ると妬ましく思う、憎くなると感じていまうという人は昔から存在していたでしょうし、程度は別として誰しも抱きがちな感情だとは思いますが、それが昨今、厄介な感染症のように拡がっていると感じます。

世代を問わず、PDCAを回すのが遅い

 企業経営でも同じことですが、正しそうな施策を考えることと、それを行動に移していったんやり切ってみることは車の両輪であり、片方だけあってもダメ。ところが人生の歩み全体で見たとき、時代の流れとともにいろいろと情報に触れて考える機会が加速的に増えていく一方で、行動に移すことへの躊躇も増えていっているようです。  筆者は20年近く前から昭和型の産業の、業績の悪い会社の経営者を仕事の中心にしてきました。  幸い業績改善という結果を出し続けられたので仕事がなくなることはないものの、ここ5年くらいで特に感じるのが、PDCAを回すのが特に遅いことです。  特に昭和型の産業の人たちがデジタル領域にチャレンジする際、全然手が進みません。不思議なことに中高年だけでなく、20代中盤なども同様なのです。
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遅々として進まない「新しい取り組み」
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株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある

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