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生活保護家庭から東大に現役合格「教育虐待の父と離れて、初めて勉強に前のめりに」

東京大学といえば、日本最難関の大学。そこに通う学生の多くは、小さなころから塾通いをして名門中高を通ってきた、いわゆる「エリート」たちです。 しかし、まったくエリートらしからぬ道筋をたどって東大に合格した学生もいます。ここでは、元落ちこぼれや休学経験者など、「普通の東大生」ではない道を辿って東大へ入学した、みなさんの知らない「リアルな東大生」の姿をお届けします。

生活保護でも教育には熱心な家庭

鈴木優斗さん

鈴木優斗さん

 今回お話を伺うのは鈴木優斗さん(仮名)。長崎県の出身で、いまは文学部に通う現役の東大生です。  もともと勉強ができた彼は、中学校に上がるまで、順風満帆な人生を送っていました。ですが、親との関係性が悪化して、一気に転落していきます。鈴木さんの人生を変えた親子関係について掘り下げます。 「僕の生まれは中国です。3歳ごろに日本に引っ越してきました。親は中国ではエリートなほうで、特に母親は修士号をいくつも取得していました。ですが、日本に来てからは職もなく、生活保護家庭になりました。ですから、かなり貧乏な暮らしでした。ただ、親の方針で『教育と子どもの食費だけは不自由させない』としていたので、僕自身は貧乏だと実感したことはありません。この方針には心から感謝しています」  中国から日本に来た後も、親から中国語で論語を暗唱させられるなど英才教育を受けていた鈴木さん。とにかく教育熱心な親の元に生まれた彼ですが、親の遺伝か地頭がよかったこともあり、小学校中学校と勉強に苦戦することはなかったそうです。  小学校は公立校でしたが、中学校は国立校を受験。見事合格してからも、生まれ持った能力と、元来のまじめさから成績はずっとトップクラスでした。友達にも恵まれ、受験も成功し、上り調子だった人生。

学校の成績が子供への待遇の差に…

 ですが、家庭崩壊の危機は、すぐそこまで迫っていました。 「僕は頭がよかったんですが、弟にはそれが遺伝しませんでした。親は頭のいい僕だけをかわいがって、弟のことは半ば無視している状態。成績が、そのまま待遇の差に直結していました。さらに、行方不明だった姉が家に帰ってきたのですが、これが父と犬猿の仲でした。僕自身も学校生活に暗雲が。とにかくまじめで成績もトップだったので、ねたまれたんです。帰宅したら親は機嫌が悪いし、学校では浮いていて、どこにも僕の居場所はありませんでした」  このころ、彼は「親は自分たちの頭の良さしか評価していないのだ」と悟ります。勉強ができるか否かで、こんなに待遇の差ができるのならば、もし自分が勉強で悪い成績をとったらどうなるのか。不安が胸をよぎります。  もともと勉強が好きだったわけではありません。いい成績をとると親が喜ぶから勉強していただけでした。彼の人生は、親から決められていました。中学、高校、大学、そして大学院まですべて決められて、それに沿って生きているだけでした。  唯一の癒しは姉が教えてくれたスマホゲームだけ。しかしそれも、親に見つかると激怒されるので、隠れてこそこそとするばかり。 【詳しくはこちら】⇒「壮絶人生の東大生鈴木優斗に聞く「いま哲学を学ぶ意味」」はこちらへ
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中間テストで手が動かなくなった
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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