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生活保護家庭から東大に現役合格「教育虐待の父と離れて、初めて勉強に前のめりに」

中間テストで手が動かなくなった

東大 彼のストレスも限界に達します。ある中間テストのことでした。難なく解ける問題のはずなのに、手が動かなくなってしまいます。急な硬直に頭も混乱し始め、結局その日のテストは散々な点数を取りました。  悪くても80点ほどだったのが、いきなり成績が下降。親は烈火の如く怒りますし、先生からは心配されます。ですが、当時まだ中学生の鈴木さんに「家庭環境から精神的にきていて……」と説明できるはずもありません。  理想と現実のギャップに耐え切れなくなった彼は、やがてグレ始めます。宿題もやらない、部屋に引きこもり続ける、挙句の果てに学校もさぼる……。  鈴木さんは「当時は何もかもがどうでもよかった」と振り返ります。先生からも親からも呆れられ、クラスではまじめだった優等生が落ちぶれたので、面白がった同級生からいじめられ……間違いなく、彼の人生の暗黒期でした。  そして、「親は子供を愛していたのではなく、頭がいいから愛してくれたんだ」と気付きます。このころ弟へのしつけは、教育虐待と呼べるほど激しくなっていました。  高校受験も「落ちてもいいや」と投げやりに。ですが、奇跡的に長崎県でも有数の進学校である長崎西高校に進学します。

恩師との出会い。家庭環境にも変化が

 高校に入ってから彼の人生に再び光が差し始めます。高校で出会った柔道部のコーチは親身に見てくれる人でした。高校では不良扱いで、先生からも嫌われ者だった彼を、唯一真正面から向き合ってくれたのが、コーチでした。  また、得意教科もできました。ゲームや漫画、小説で得た知識から、世界史が面白いように解けたのです。クラスで一番の成績をとって、みんなから驚かれました。  親のためではなく、自分が学んで色々知ることが楽しい。問題を解くことが楽しい。この気持ちのために勉強しようと前向きになり始めます。徐々に上昇していく成績とともに、周りからの評価も変わっていきました。  一方で家庭環境は悪化の一途をたどります。半年以上、弟は部屋に引きこもり、一切出てこない。父親は折に触れて怒り狂い、安息の時間はありませんでした。  ついに、児童相談所が来ます。母に突き付けられたのは「子どもと別れて父と暮らす」か「父と別れて子どもと暮らす」かの二択。熟慮の末、彼女は子どもと暮らす道を選びます。  この頃には高校の先生にも家の事情が伝わります。初めて先生たちから理解されて、彼は涙を流しながら感謝しました。  恐怖の対象であった父から離れ、先生たちからも理解を得られて、生まれて初めて伸び伸びとした環境で、テストに臨んだ鈴木さん。見事学年一位でした。  東大も夢ではない。そう思った通り、一年後、彼は現役で東京大学に合格します。家庭環境の不和にも挫けず、前に進み続けたからこその勝利でした。  いまは哲学の研究をしている鈴木さんですが、いつか家族関係について答えを出したいのだそうです。自らの問題を通して社会を見通す彼の、今後の活躍に期待です。 【詳しくはこちら】⇒「壮絶人生の東大生鈴木優斗に聞く「いま哲学を学ぶ意味」」はこちらへ
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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